「~と思う」と「~と思っている」の違い
この記事では、「と思う」と「と思っている」の違いについて紹介します。
どちらも話し手の意志・願望や判断を表す表現ですが、以下のような違いがあると言われています。
【違い①】
「~と思う」の思考の主体は話し手(私)。
「~と思っている」の思考の主体は第三者・話し手のどちらも可能。
【違い②】
「~と思う」はその場での判断を表す傾向が強い。
「~と思っている」は話し手が継続して持っている判断を表す傾向が強い。
以下でもう少し詳しく説明します。
違い①:「~と思う」の主体は話し手(私)。「~と思っている」の主体は第三者・話し手のどちらも可能。
「~と思う」の主体は、話し手(私)自身に限られます(「初級日本語文法と教え方のポイント」, p. 311)。
なので、「~と思う」の主体が第三者の場合は、不自然に聞こえることも多いです。
? 山田さんはアメリカに行こうと思う。
〇 私はアメリカに行こうと思う。
? 山田さんは彼が犯人だと思う。
〇 私は彼が犯人だとと思う。
「山田さんはアメリカに行こうと思う」や「山田さんは彼が犯人だと思う」というように、「と思う」の主体が第三者(「山田さん」)の場合だと、少し不自然に思う人も多いのではないでしょうか?
「~と思っている」の場合は、話し手・第三者、どちらもその思考の主体になれます(「初級日本語文法と教え方のポイント」, p. 311)
〇 山田さんはアメリカに行こうと思っている。
〇 私はアメリカに行こうと思っている。
〇 山田さんは彼が犯人だと思っている。
〇 私は彼が犯人だと思っている。
なので、「~と思う」の思考の主体は、基本は話し手(私)のみというのが、まず大きな違いと言えます。
違い②:「~と思う」はその場での判断を表す。「~と思っている」は話してが継続して持っている判断を表す。
「と思う」は、その場での判断を表す傾向が強いです。
一方、「と思っている」の場合は、話し手がある程度継続して持っている判断を表す傾向が強くなります。(「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」 p. 190)。
〇 空が暗くなってきた。もうすぐ雨が降ると思う。
? 空が暗くなってきた。もうすぐ雨が降ると思っている。
〇 え?山田さんがどこにいるかって?たぶんオフィスにいると思うよ。
? え?山田さんがどこにいるかって?たぶんオフィスにいると思っているよ。
「もうすぐ雨が降ると思っている」「たぶんオフィスにいると思っている」というと少し不自然に感じると思います。
「と思っている」はある程度継続して持っている判断の意味があるので、上記の例のように、とっさの判断のときには「と思っている」は不自然に聞こえるのだと考えられます。
逆に、継続して持っている判断を表す場合に、「と思う」が使いづらいケースもあります。
? 私はAさんのことをずっと大切な仲間だと思う。
〇 私はAさんのことをずっと大切な仲間だと思っている。
上記のように「ずっと」という継続を表す副詞がある場合は、「と思っている」のほうが使われやすいと思います。
また、「と思っている」は、こだわりや強い主張があるというニュアンスにもなります(「初級日本語文法と教え方のポイント」, p. 311)。
「と思っている」の場合は、過去から現在まで継続してそのように思っているという意味になるので、強い主張・こだわりと結びつきやすいのではと思います。
さらに、以前とは異なる「今」を強調したいときにも「と思っている」が使われます。(「留学生のためのここが大切 文章表現のルール」, p. 38)
〇(あなたはそう思わないかもしれないが)私は日本語が簡単だと思っている。
〇(以前は日本語が難しいと思っていたが)今は日本語が簡単だと思っている。
なお、レポートなどで自分自身の考えを述べるときは、基本は「~と思う」を使えば問題ありません(「留学生のためのここが大切 文章表現のルール」, p. 38)。
「と思っている」を使った場合は、継続の強調、現在との違い、こだわり、強い主張などのニュアンスが付加される場合が多いです。
まとめ&ご興味のある方は
「と思う」と「と思っている」の違いについて簡単に紹介しました。
改めて違いをまとめると以下のようになります。
【違い①】
「~と思う」の思考の主体は話し手(私)。
「~と思っている」の思考の主体は第三者・話し手のどちらも可能。
【違い②】
「~と思う」はその場での判断を表す傾向が強い。
「~と思っている」は話し手が継続して持っている判断を表す傾向が強い。
何かのお役に立てれば幸いです。
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