教育学の視点からの「Learning(学習)」に関するMoon (2004)の本を読んでいます。

この前のラーニング・ジャーナルの記事でも紹介したMoonの別の本の第1章を読みました。

  • Moon, Jennifer A. A handbook of reflective and experiential learning: Theory and practice. Psychology Press, 2004.

第一章では学習プロセスについてで、「Learning(学習)」という概念の捉え方について説明していました。

この本では、学習者は容器のようなもので、習ったことを吸収し、「brick walls(レンガ造りの壁)」を作り上げていくのではなく、学習者は、新しい学習とこれまでの知識・経験と習ったことをリンクさせて、意味を構築していくという考えをとっているようです。構築主義に基づいているといっていました。

学習者が自分で学習に意味を見出す、という意味で、学習というのは個人的なものであり、でも、学習というのは社会的なものの影響を色濃く受けているので、社会的でもあると言っていました(p.22)。

また、学習者の内的・外的経験に変化がなければ学習は生まれず、学習というのは、学習者がなんらかの変化(variation)を経験し、その変化を取り込もうとするプロセスであると言っていました(Marton and Booth (1997)を引用(p.27))。Marton and Booth (1997)は教育の場面を「変化の構築(architecture of variation)」と呼んでいるようです。

ちなみに内的経験というのは心・頭の中で経験すること(要するに考えたり感じたりすること)で、外的経験は自分が実際に経験すること(日本語でいう所謂経験のこと)だと思います。

まあそうだなという感じですが、ある意味「当たり前」と思われることを、こうやって文章にしてくれているとありがたいですし、研究の参考にもなりそうです。この本でよく引用されていたMarton and Booth (1997)も読んでみたいですし、Learning(学習)の概念の変化の流れについてももう少し見てみたいです。