「そうですね」「そうなんですね」の違いについて
この記事では、相槌の「そうですね」と「そうなんですね」の違いについて紹介します。
この2つ、似ていますね。
例えば、以下の例を考えてみましょう。
A: あの映画、すごくおもしろいですよ!
B: そうですね。/そうなんですね。
「そうですね」「そうなんですね」どちらも言えると思いますが、どう違うでしょうか?
ニュアンスは以下のように違うと言われます。
- そうですね(That’s right)
基本は「私もそう思います」という意味 - そうなんですね(Okay/Right.)
よく話者の「知らなかった!」という気持ちが入る。ややカジュアル
以下の例を見てください。
A: あの映画、すごくおもしろいですよ!
B: そうですね。私も見たんですが、すごく面白いと思いました。
B: ??そうなんですね。私も見たんですが、すごく面白いと思いました。
なので、もし「そうなんですね!私も見たんですが、すごく面白いと思いました」というと、少し違和感を感じる人も多いのではないでしょうか?
「そうなんですね」を使うと、「知らなかった!」というニュアンスが入ります。なので、「私も見たんですが」というような、「映画について知っている」場合は使いづらいです。
「そうなんですね!私も見てみたいです」などのほうがしっくりくるのではないかと思います。
それから、「そうなんですね」を、少しカジュアルと考える人も多いです。
(ウェブで「そうなんですね」を検索すると「目上の人には失礼では」という風に書いているサイトも複数ありました。)
なお、「そうですね」「そうなんですね」は様々な場面で使われますので、上記にあてはまらないことも実際は多いです。
「そうですね」は、「うーん、そうですねー、私は〇〇と考えますけど」とフィラー(つなぎ言葉)のようにも使われます。
「そうなんですね」は、「あー、やっぱりそうなんですね」と、知っていることを再認識するときにも使います。
もう少し知りたい方に:「んです」の役割
なぜ「そうなんですね」だと、「知らなかった」というニュアンスがでるのでしょうか?
「そうですね」と「そうなんですね」の違いは、「んです」が入っているかどうかです。
ちなみに「そうなんですか」には、「ん」だけじゃなくて、「な」も入っているじゃないかと思った方もいるかもしれません。
ただ、「そうなんですか」の「な」は、「んです」が名詞と接続するときに出てくるものと説明されます。「病気」+「んです」→「病気なんです」という感じですね。
この「んです(のです)」は日本語文法でも複雑な項目の一つです。
「んです」の機能は、理由や解釈、再認識など複数ありますが、その一つに「発見」を表すものがあります(参考:「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」p. 285)。
例えば、以下のようなものです。
- (家のインターフォンを押しても返事がないとき)あ、留守なんだ。
- (アプリの使い方がわからなかったが、わかったとき)ここをクリックすればいいんだ。
「知らなかったことを初めて知った」というニュアンスがありますね。
この「発見」のニュアンスが、相槌の「そうなんですね」には出てきているのではないかと思います。
「んです」は日本語で頻繁に出てきますが、機能が多様で日本語教育では難しいポイントの一つであります。
さらに知りたい方は
「そうですね」と「そうなんですね」の違いについてと、「んです」の役割について簡単に説明しました。
なお、「んです」については多くの研究がなされています。
↑専門書なのですが、この本に今までの研究などが詳しくまとめられています。