コーパスを言語のクラスで使うには・・・という人のためのコーパス活用法の講演を視聴しました。

今回視聴した講演:コーパス活用法

Reppenのコーパスを言語クラスでどう使うかという講演がアップロードされていたので見ました。

  • Reppen (2012) Using Corpora in the Language Classroom

前記事でも少し紹介しましたが、コーパスとは自然会話・文章のデータベースのことです。

コーパスの存在はしっているが、どうクラスで使えばいいのかわからないという人に、コーパス活用法を説明していました。

Reppenは、コーパスは以下の3つの点で言語のクラスで応用できるといっていました。

①シラバスを作る際の参考にする

「新聞記事をクラスで使いたいけど、学生には難しすぎるかな?」と思ったときに、対象の新聞のコーパスの中の頻出単語を検索し、リストにして、学生に渡します。学生に分からない単語をマークしていってもらい、もしわからない単語が多すぎたら、この新聞は難しすぎる、ということになります。

②教材を作成する

様々な例を出していましたが、コーパスの便利な点は、直感に頼るのではなく、自然な文脈の中である言葉がどう使われているかを知ることができることだと思います。

例えば、教科書の会話では「um, uh」などのフィラーと呼ばれる会話を繋ぐことばは省かれがちですが、話し言葉コーパスは自然会話を元にしているので、um, uh, などがよく出てきます。教科書では見落とされがちですが流暢に聞こえるためにはこれらのum, uhは実は大切な要素になってくるので、コーパスでのこういうum, uhの使われ方などを見て、教材を作る際の参考にすることもできます。

また、「as a result of」や「on the basis of」「the nature of the」「the size of the」「in the context of」などよく出てくるコロケーション(よく一緒に使われる単語)も調べられるので、便利なコロケーションをまとめて覚えてさせることもできます。

単語の意味だけでなくて、その単語がどのようなときに使われるか(書き言葉・話し言葉の違いなど)を学ぶにもコーパスは活用できるといっていました。

③専門コーパスを作る

ある特定の学習者のニーズにこたえるため、専門コーパスを作り、それを使って特定の学習者のニーズにこたえることもできるそうです。市販の教科書が存在しないときなどは便利だと思いました。
例えば、人類学を学びたい学生に対して、人類学のコースの課題図書のコーパスを作り、それを使って人類学でよく使われる単語をピックアップしたり、また既習の単語が人類学の文脈ではどのような意味で使われているのかを説明したりできると言っていました。

また、ナバホ語の母語話者の書いた英文のコーパスを作成・分析して、ナバホ語話者に特有の間違いを特定し、そこを重点的に教えるといった例も挙げられていました。

英語の便利なコーパスとしては以下のようなものがあるそうです。

コーパスは便利だなと思いつつ、使いこなせていないので、自分が語学を学ぶとき、教えるとき、研究するときに使えるようになりたいと思いました。

 

その他の書籍

Reppenは以下の本の著者でもあります。

  • Biber, Douglas, Susan Conrad, and Randi Reppen. Corpus linguistics: Investigating language structure and use. Cambridge University Press, 1998.

この本は和訳も出ています。