この記事では「とりあえず」と「一応」の違いについて説明します。
どちらも似たような意味で使われることが多く、違いを説明するのが難しいです。
どちらも使えるとき
「とりあえず」と「一応」は両方使えるときも多いです。
- このプロジェクトは、今日で一応/とりあえず終わりということにしたいと思います。
- 相手が間違えていると思った時も、一応/とりあえず話は全部聞くようにしています。
- では、次の会議は一応/とりあえず来週の金曜日にしましょう。もし都合が悪い人が出てこれば変更にしましょう。
上記の場合のように、「仮にそうしておく」という意味のときはどちらも使えます(「人を動かす!実戦ビジネス日本語会話 上級」(p.83))。
英語でいうと「tentatively」や「for now」の意味のときですね。
「とりあえず」が使われやすい場合
「本格的な対応はどうするか分からないが、応急の処置としてそうする」という意味(「人を動かす!実戦ビジネス日本語会話 上級」(p.83))の場合は、「とりあえず」が使われやすいです。
以下のような例があります。
- この仕事は今日中には終わりそうにないから、とりあえず今日はきりのいいところまでやって、帰宅しよう。
- 嫌なことがあったら、とりあえず寝よう。
- とりあえず、会ってから、今日なにやるか考えよう。
いずれの場合も、本格的な対応はどうするか分からないが、応急の処置として何かをしようという文脈です。
この場合は、「一応」は不自然に聞こえることが多いと思います。
個人的な意見ですが、「とりあえず」には、「(本格的な対応はどうするか分からないが)まず~をしよう」というニュアンスがあり、「一応」はこの「まず(first of all)」というニュアンスがないのではと思います。
「一応」が使われやすいとき
「一応」は、「完全とはいえないが、最低の要件を満たしている様子」(「人を動かす!実戦ビジネス日本語会話 上級」(p.83))という意味です。
「一応」は、「(必要ないかもしれないけど/形式的ではあるけれど/自信はないけど)念のため~」というニュアンスのときに使われやすいです。
- 皆さん既にこの注意事項は読んでいただいていると思いますが、一応もう一度だけ確認させていただきます。
- 他の人がみんな集まっているということだったので、一応少し顔を出して、挨拶だけしてから帰った。
- 天気予報では晴れの予報だったが、一応、かさを持っていくことにした。
上記の場合「とりあえず」も使えると考える人もいるかと思います。
ただ、「とりあえず」を使った場合、「(必要ないかもしれないけど/形式的ではあるけど/自信はないけど)念のため」というニュアンスが薄く、「さしあたって(for the time being)」というニュアンスが強くなる気がします。
まとめ
「とりあえず」と「一応」の違いについてまとめました。
この記事は、「人を動かす!実戦ビジネス日本語会話 上級」(p.83)に掲載されていた定義を参考にしながら、自分なりに整理してまとめただけなので、人によって意見は違うかと思います。
ただ、何かの参考になれば幸いです。