パラディグマティックな関係(paradigmatic relation)とシンタグマティックな関係(syntagmatic relation)について

この記事では、パラディグマティックな関係(paradigmatic relation)とシンタグマティックな関係(syntagmatic relation)について説明します。

パラディグマティックな関係

まず、パラディグマティック(paradigmatic )な関係について説明します。

パラディグマティックは、「パターン」や「範例」を意味する「paradigm」からきています。

パラディグマティックな関係とは、同じカテゴリーの要素間の関係(その要素間で置き換え可能な関係)です。

 

これだけだとわかりづらいと思うので、まず、以下の文を見てください。

私は 海 で 遊ぶ

 

「海」というところを、以下のような名詞に置き換えても文が成り立ちます。

私は 海 で 遊ぶ

公園

学校

 

「スーパー」「海岸」「公園」「学校」はすべて「名詞」という同じカテゴリーに入ります。そして、「私は〇〇で遊ぶ」という文の中で置き換え可能なものです。

「スーパー」「海岸」「公園」「学校」のような置き換えられる語同士を、パラディグマティックな関係にあるといいます。

置き換え可能ですが、「私は スーパー海岸 で遊ぶ」というように2つを一度に使うことはできません。

「スーパー」「海岸」「公園」「学校」などといった選択肢の中から、どれか1つが選ばれます。

 

また、上記のように縦に並べて表示されることが多いため、パラディグマティックな関係は、「縦の関係」ともいわれます

 

 

もう一つ例を見てみます。「私は 海で 遊ぶ」という文で、「遊ぶ」という動詞は、以下のような動詞に置き換えても文が成り立ちます。

私は 海で 遊ぶ

歌う

走る

寝る

この「遊ぶ」「歌う」「走る」「寝る」もパラディグマティックな関係にあります

なお、「私は 海で 公園」「私は海で 家」といったように、「遊ぶ」を「公園」や「家」で置き換えることはできません。

なので、「遊ぶ」と「公園」「家」はパラディグマティックな関係にありません。必ずここに来るのは同じカテゴリー(この場合は動詞)の要素になります。

 

シンタグマティックな関係

シンタグマティックな関係は、線上に並べられた要素間の関係(要素間で並べ替えができない関係)のことです。構造・順序に関係します。

シンタグマティックというのは、「syntagm」からきています。

「syntagm」というのはソシュールが提唱した概念で、ざっくり言ってしまうと、順序を並べ替えると意味が成り立たなくなる関係のことです。

 

以下の文を見てください。

私は きれいな海 で 遊ぶ

 

文というのは語がつながってできていますが、上記の文の順序を以下のように並べ替えると意味をなさなくなります。

は私 海きれいな で 遊ぶ

 

日本語は、「名詞+助詞」という順序になっています(「名詞+助詞」という構造であるとも言えます)。

なので、「私は」はわかりますが、「は私」というと意味が成り立たなくなります。

 

「きれいな海」も同様で、日本語では「形容詞+名詞」という順序になります。「海きれいな」というのは、口語や詩的な文章では言うかもしれませんが、一般的な順序ではありません。

 

このとき、「私」「は」は文の中の順序が決まっている関係で、シンタグマティックな関係と言われます。

「きれいな」「海」も同様にシンタグマティックな関係となります。

 

シンタグマティックな関係は、文のように直線上に並べられた要素の順序・構造のことを示すので、横の関係とも呼ばれたりします。

 

まとめ

この記事では、パラディグマティックな関係とシンタグマティックな関係について説明しました。

 

まとめると以下のようになります。

  • パラディグマティックな関係:同じカテゴリーの要素間の関係(その要素間で置き換え可能な関係)、縦の関係
  • シンタグマティックな関係:線上に並べられた要素間の関係(要素間で並べ替えができない関係)、横の関係

 

何かのお役に立てれば幸いです。