内包(intension)と外延(extension)について

内包(intension)と外延(extension)とは

内包と外延は意味論で使われる概念です。もとは論理学の用語で、語の意味をいくつかの要素に分けて考えるときによく使われます。

定義は以下のようになっています。

内包:ある記号(ことば)が指し示すものが共通して持っている性質
外延:ある記号(ことば)の指し示す対象の範囲
これだけだとわかりにくいので、例を挙げてみます。

例1 :乗り物

「乗り物」ということばをウィキペディアで調べると、以下のような記載があります。

乗り物(のりもの、英: vehicle)は、人を乗せて移動するもの。馬車、駕籠、汽車、電車、自動車、船、飛行機、人力車 等々の総称。
ウィキペディア アクセス日:2021年1月31日)

 

この記載をよくみると、前半(「人を乗せて移動するもの」)と後半(「馬車、駕籠、汽車、電車、自動車、船、飛行機、人力車 等々の総称」)は、同じ「乗り物」を説明しているのですが、焦点が違います。

内包とは、前半の「人を乗せて移動する」の部分です。ここは、乗り物ということばが指し示すものが共通してもっている性質を説明しています。

外延とは、後半の「馬車、駕籠、汽車、電車、自動車、船、飛行機、人力車 等々」の部分です。ここ、「乗り物」ということばで指し示される具体的な対象の範囲を説明しています。

例2 :鳥

次に「鳥」という例で考えてみます。
鳥というと、一般的に以下のような性質を持っていると考えられます。
  • 卵生
  • 体が羽毛でおおわれている
  • (多くの場合)翼で空中を飛ぶ
これらは(多くの)「鳥」が共通して持っている性質で、内包にあたります。

なお、「鳥」というと、具体的にはスズメ、ツル、カラス、サギ、ヒヨドリなどが思い浮かぶと思います(他にもたくさんあると思います)

このように「鳥」が指し示す対象物の範囲(=対象物全体)が外延にあたります。

 

内包(intension)と外延(extension)の関係

必ずではありませんが、内包が増えると、外延は減ることが普通です (Copi, Cohen and Rodych 2016, p. 97)。

 

例えば、「乗り物」ということばと、「自動車」ということばを比べてみます。

「乗り物」は「人を乗せて移動する」という性質をもっていました。

「自動車」の場合、「人を乗せて移動する」だけでなく「エンジンによって陸上を動く」という性質も加わります。

つまり、自動車は「乗り物」よりも内包(=共通して持っている性質)が増えています。

 

ただ、性質が増えた分、その性質が適応する範囲(=外延)は減ってしまいます。

「乗り物」のほうが指し示す範囲(=外延)は広く(例えば、乗り物には馬車、飛行機なども含まれます)、「自動車」のほうが指し示す範囲(=外延)は減少しています。

 

まとめ

内包と外延について簡単に説明しました。何かのお役に立てれば幸いです。

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