先行シラバス、後行シラバス、プロセスシラバスについて

先行シラバスと後行シラバスの違いについて

先行シラバス(a priori syllabus )と後行シラバス(a posteriori syllabus)というのは、シラバスがいつ完成するかに注目した言い方です(小林 2010, p. 44)。

 

先行シラバス:コースが始まる前に完成しているシラバス
後行シラバス:コース全体が終わった時点で完成するシラバス

 

先行シラバス

先行シラバスは、コース開始時に完成しているシラバスのことです。

例としては、小中校の授業があげられます。

小中校では、どの学校も、1年間で、どの教科書を使って、どの内容をカバーしなければならないかが決まっています。

 

後行シラバス

後行シラバスは、学習者のニーズを聞きながら授業を決めていき、最終的にはコース全体が終わったときに完成するようなシラバスです。

個人授業の場合は、コース開始時点では、どこまでカバーするかなどは決まっておらず、学習者のニーズに合わせて、柔軟にコース内容を考えていくことができます。

コースが終わった時点で、シラバスが完成するというのが後行シラバスです。

 

プロセスシラバス(process syllabus)

とはいえ、先行シラバスの場合も後行シラバスの場合も、実際には柔軟に対応することが多いです。

先行シラバスで決まっている内容があっても、学習者が全然理解していない場合は、進行を遅らせることもあります。逆に、学習者からもっとこの項目について学びたいなどという希望があれば、追加活動などを入れることもあります。

後行シラバスも、個人授業なら学習者のニーズに合わせて対応できるかもしれませんが、ニーズの異なる学習者が同じクラスに場合は、教師は対応できなくなりますので、ある程度教師側でシラバスを決定する必要もでてきます。

 

プロセスシラバスとは、このような変更を事前に見越して作成するものです。

プロセスシラバスでは、教師が事前にある程度内容を決めておきますが、学習者と教師、または学習者同士の話し合いによって変更していきます。

必要に応じてコースの間にもシラバスが変更されることがあります。

プロセスシラバスの利点として、学習者のニーズが取り入れやすいことや、実際にシラバス作成に向けて話し合うこと自体が学習につながることなどがあげられます。

ただ、どこまで学習者にシラバス決定に関与させるのかというのは難しいところではあります。

 

興味のある方は

先行シラバスと後行シラバス、プロセスシラバスについて紹介しました。

他のシラバスの種類について興味のある方は以下の記事もご覧ください。