「日本語研究のための認知言語学」読了②。認知言語学についてもっと知りたいです。

日本語研究のための認知言語学

籾山(2014)の「日本語研究のための認知言語学」の続きです。いくつかメモしておきます。

  • 籾山洋介. 日本語研究のための認知言語学. 研究社, 2014.

 

百科事典的意味(encyclopedic meaning)

語をはじめとする言語表現の意味について、百科事典的意味(encyclopedic meaning)について説明していました。これは「その語から想起される(可能性のある)知識の総体」のことで、指示対象だけでなく、背景知識も含まれるらしいです。

例えば、曜日の例だと、月曜日、火曜日・・といった個々曜日の存在を知るだけでなく、月曜日から金曜日までは働かなければならず、月曜日は働く最初の日、金曜日は働く最後の日であり、土日は働かなくていい。また、働くことは大変でできればやりたくない、などとの背景知識も含まれるそうです。

「月曜の朝は憂鬱」とか「花金」などといった表現は、こういった上記の背景のフレーム(「日常の経験を一般化することによって身につけた、複数の要素が統合された知識の型」のことだそうです。)が効力を発しているといえます。

 

概念メタファー

概念メタファーとは、ある対象が直接把握しにくい場合に、別のよくわかっている事象を通して理解するという認知の仕組みだそうです。

本に載っていた例でいうと、「大きな荷物を抱えて歩くのは大変」という表現のように「抱える」の基本的な対象は「物」で、これは私達が身体を通して直接触れることができる具体的なものです。これを、「不安を抱えて生きていく」のように抽象的な事柄にも転用することで直接把握しにくいものを把握することができます。「コーヒーを飲む」が「要求を飲む」といった抽象的な表現に使われるのもその例です。

また、身体的な経験を直接の基盤にする概念メタファーを「プライマリー・メタファー」というそうです。

この本では他にもメンタル・スペースやブレンディング理論などの認知言語学の項目を紹介していました。

ちょっと前の記事でレイコフのビデオについて紹介しました。

その中で彼がメタファーについて説明していたのですが、これは概念メタファーのことだったのかなと思いました(ビデオを見直していないので確認していませんが)。暇があったらまた認知言語学の入門書を何冊か読んでみたいと思います。

英語で読んでいると、そもそも例文の意味がよくわからないということが多々あるので、日本語で説明してもらえるとありがたいと思いました。