変音現象とは
日本語で語と語を組み合わせるとき、単独で読んでいたものと音が変わることがあります。
例えば「雨(あめ)」と「音(おと)」と単独では読みますが、二つが合わさると「雨音(あまおと)」になります。
こういった現象を変音現象といいます。
日本語によくある変音現象として、連濁・転音・音便・音韻添加・連声・半濁音化があります。
連濁
後ろの語の最初の音が濁音化することです。後ろの語の最初が「カ行」「サ行」「タ行」「ハ行」の場合に起こります。
- はな + こえ → 鼻声(はなごえ)(「こ」→「ご」)
- くさ + はな → 草花(くさばな)(「は」→「ば」)
とはいえ、必ずしも連濁が起こるわけではなく、例外ルールなどもあり、奥が深いです。
↑詳しくはこちらの記事もご覧ください。
転音
前の語の最後の母音が変わることをいいます。母音交代ということもあります。
- 雨(あめ)+ 音(おと)→ 雨音(あまおと)(「め」→「ま」)
- 木(き)+ 陰(かげ)→ 木陰(こかげ)(「き」→「こ」)
音便
前の語の母音が促音「ッ」や撥音「ン」、「イ」の音や「ウ」の音に変わることをいいます。
- 埼(さき)+ 玉(たま)→ 埼玉(さいたま)(「き」→「い」)
- とり + かかる → とっかかる(「り」→「っ」)
- ぶつ + なぐる → ぶんなぐる(「つ」→「ん」)
なお、動詞や形容詞の活用でよく音便が見られます。
- 「遊び」+「て」→「遊んで」(「び」→「ん」)
- 「立ち」+「て」→「立って」(「ち」→「っ」)
- 「おはやく」+「ございます」→「おはようございます」(「い」→「う」)
音便は、現在の「ツ」の音(促音)や「ン」の音(撥音)の発生に深くかかわっていると言われています。
興味のある方は、高山倫明他(2016)音韻史 (シリーズ 日本語史 1)などに詳しいと思います。
また、音便の種類について詳しく知りたい方は「音便(イ音便・ウ音便・促音便・撥音便)について」もご覧ください。
音韻添加
後ろの語の最初に新しい音素が入ることをいいます。
- 春(はる)[haru] + 雨(あめ)[ame] → 春雨(はるさめ)[haru same]
この場合、「はる」と「あめ」の間に「s」という新しい音がはいっています。
連声
前の語が[m][n][t]で終わり、後ろの語の最初が「ア行」「ヤ行」「ワ行」で始まるときに、その部分が「マ行」「ナ行」「タ行」になることです。
漢語でよくみられます。例で覚えるのが早いと思います。
- 反(はん)[han] + 応(おう)[oo] → 反応(はんのう)[han-noo]
- 因(いん)[in] + 縁(えん)[en] → 因縁(いんねん)[in-nen]
半濁音化
後ろの語の最初の「ハ行」の音が「パ行」に変わることです。
- しん + はん → 審判(しんぱん)
- えん + ひつ → 鉛筆(えんぴつ)
まとめ
変音現象について簡単にですがまとめました。
日本語の音声についてもっと知りたい場合は、以下のような本もあります。
- 松崎 寛・河野 俊之(2018)『日本語教育よくわかる音声』アルク