ニーズ調査とレディネス調査の違いについて

コースデザインについて

語学のコースをデザインするときに、ニーズ調査レディネス調査をしたうえで、コースをデザインすることが望ましいといわれます。

この記事ではこのニーズ調査とレディネス調査の違いについて説明します。

 

ニーズ調査

ニーズ調査・分析(needs analysis)は、その名前のとおり、学習者が何を必要しているかを調査することです。

アンケートやインタビューで学習目的や学習状況についての情報を収集することが多いです。

具体的には、以下のようなことを聞きます。

① 学習目的
② 学習目標
③ どの技能を伸ばしたいか
④ どんな場面で学習言語を使うのか

 

こういった学習者のニーズを知り、分析することによって、どんなコースをデザインするかを考えることができます。

例えば、日本語コースをデザインする場合、ビジネスの場面で日本語を使う学習者を対象にするのであれば、ビジネスで使う表現を学ぶ授業を取り入れるなどすることができます。

重点を置くべき技能に「会話」をあげた学習者が多ければ、コースの会話練習の比率を高めるなどということもできます。

 

レディネス調査

レディネス(readiness )とは、「準備ができていること」という意味です。

つまり、レディネス調査・分析(readiness analysis)は、ある学習をするために、学習者側でその準備ができているかを調査することです。

 

例えば、オンラインの授業をするにもかかわらず、学習者がパソコンを持っていなければ、学習者はその授業を受ける体制が整っていない(つまり準備ができていない)といえます。

 

レディネス調査はアンケートやインタビュー、レベル分けのプレースメントテストなどを組み合わせることが多いです。

 

また、レディネス調査では、自分の都合だけでは決められない外的条件内的(個人的)条件に分けることが多いです。(参考:伊藤・西川(2004)『新・はじめての日本語教育 基本用語事典』, p. 40)

 

外的条件の例

外的条件としては以下のようなものがあげられます。

  • 国籍・母語・年齢
  • 経済的条件(学習のために準備できる費用)
  • 時間的要件(学習に費やせる時間)
  • 学習者が使用可能な機器

 

社会人などだと学習に費やせる時間がそもそも非常に少ないという可能性もあります。

その場合は、コースを組むときに、その学習時間内で到達できる目標などを考えなければならなくなります。

 

また、スマホしかもっていないという学習者がいた場合は、PCがないとできないような課題についてどうするか事前に考えておかなければなりません。

 

 

内的条件の例

内的条件としては以下のようなものがあげられます。

  • 今までの学習経験・使用教材
  • 現在の学習言語のレベル
  • 他の外国語の学習経験やそのレベル
  • 学習スタイル(どんな教授法・練習/活動が好きか)

 

内的条件というのは、過去の言語学習や現在のレベル、学習スタイルなど、言語学習そのものに関することのようですね。

 

まとめ

ニーズ調査とレディネス調査についてまとめました。

お役に立てれば幸いです。