「思う」「思える」「思われる」の違いについて
「思う」「思われる」「思える」の違いについて調べてみました。
- この事件は解決したと思う。
- この事件は解決したと思われる。
- この事件は解決したように思える。
この「思われる」というのは、形式としては受身形と同じですが、自発の形(自然にそのようになるという意味)になります。
それから、「思える」というのは、可能形ですが、意味的には自発に近いと言われています。
意味の違い
「思われる」「思える」は硬い文章で使う
『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(白川他 2001, p. 191)によると、「思われる」と「思える」はほぼ同じ意味で使われるそうです。
「と思う」が使いにくい論文などで、「と思う」の代わりとして使われると言っています。
「思われる」、「思える」のどちらも、論文などの硬い文章のときに出てくるもののようですね。
「思われる」は客観性が強い
『留学生のためのここが大切 文章表現のルール』(p. 39)では、「思われる」と「思える」の意味の違いにも言及していました。
説得力を高めたいときは「~と思われる」を使うようです。
例えば、「犯人はAさんだと思われる」といった場合、書き手が結論が述べるような感じに聞こえます。
「思える」は個人的な気持ちを述べるときに使う
『留学生のためのここが大切 文章表現のルール』(p. 39)によると、「思える」は個人的な気持ちを述べるので、説得力に欠けると言っています。
「犯人はAさんのように思える」というと、結論というより、自分がそう思うといったニュアンスが強くなるかと思います。
注意
「思える」は「ように思える」のほうがよく使う
なお、「思える」の場合は「と思える」より「ように思える」のほうが多用されます。(白川他 2001, p. 192)
「思える」「思われる」のときは「私は」ではなく「私には」が普通
私は彼が犯人だと思う。
私には彼が犯人だと思われる。
私には彼が犯人のように思える。
「思われる」「思える」のときは、「私には」になるのが普通です。(白川他 2001, p. 192)
まとめ
「思う」「思える」「思われる」の違いについて調べてみました。
基本は「思える」「思われる」は硬い文章で使われ、「思われる」のほうが客観性が強い(説得力を高めるときに使う)ようですね。