ロシアの文学者バフチンについて知りたいと思っていたところ、イエール大学のオンラインコースの動画を見つけたので、見てみました。
- Fry (2014) The Social Permeability of Reader and Text
http://oyc.yale.edu/english/engl-300/lecture-16
最近オンラインで大学の授業を公開しているところが増えているようですが、このオンラインコースは、ハンドアウトだけでなく、書き起こし原稿までアップロードされていて至れり尽くせりだなと思いました。
この講義では、20世紀の文学者のJaussとBakhtinについて話していました。
JaussもBakhtinも実際の世界でテキストが消費され、流通していくかという社会的側面に注目していたそうですが、Bakhtinは実世界でテキストがどう作り出されているか、Jaussはテキストが実世界でどう受け止められているかに興味を持っていたそうです。
Bakhtinは、ロシアのフォーマリストと呼ばれる文学者たちが、テキストを現実社会と切り離していることを批判し、どうやって実世界でどう様々な声が作りだされ、それがどう小説に反映されているかをみることが必要だといっています。
実世界では「ブルジョワ」「男」「女」「庶民」など、社会的・歴史的・年齢的に制約されたの様々な人の「声」(彼の言葉ではヘテログロシア)があり、著者というのは自分の言語を持っているというよりは、このような社会的・歴史的・年齢的な制約のある他人の言語を操っている(play with languages)と言えるのではと言っているそうです。(私の理解した範囲では・・)
Jaussはどの時代・場所であっても、テキストを読者が読む際にはintelligere, explicare, applicare(理解・解釈・応用)という解釈のプロセスが生み出されるといっています。ただ、この解釈というのは時代・場所によって変化していくものであるといっています。また、テキストの持つaesthetics (美しさ)というのが、様々な時代を結び付ける「接着剤」の役割を果たし、テキストが忘れ去られずに生き続けさせることができると言っているようです。