ACTFLの2015年の「World-Readiness Standards for Learning Languages」における5Cについて

ACTFLの言語学習基準

全米外国語教師協会(ACTFL)は、アメリカで言語教育の基準など作成しています。

OPI(Oral Proficiency Interview)を開発・運営していることでも知られています。

 

ACTFL(とその他の言語団体)は1996年に「The Standards for Foreign Language Learning for the 21st Century」(21世紀の外国語学習基準)を発表し、以下の5つの「C」からはじまる領域を、外国語学習の目標領域として打ち出しました。

  • コミュニケーション (Communication)
  • 文化 (Cultures)
  • コネクション (Connections)
  • 比較 (Comparisons)
  • コミュニティ (Communities)

 

 

2015年には、それを「World-Readiness Standards for Learning Languages」に改名しました。「World-readiness」とあるように、社会(世界)に出る準備をするための言語学習スタンダードという感じでしょうか。

 

2020年3月31日現在で最新のものは第4版のようです。

 

2015年の言語学習スタンダード

2015年のスタンダードも、1996年と同様、目標領域として「5C」と11項目のスタンダードを掲げており、そこに変更はありません。

ただ、1996年のものより一つ一つの内容が時代に合わせて訂正されているようです。

 

2015年の言語学習スタンダードについては、とても見やすい動画があります。また、概要を2ページでまとめたファイルも公開しています。

  • ACTFL (2015) World Readiness Standards Overview. (アクセス日:2020年3月31日)

 

この動画によると、2015年の基準では①リテラシー、②現実世界での応用、③21世紀に必要なスキルという観点から改訂されたといっています。

また、「グローバル能力」という新たな概念についても言及しています。

 

以下は、簡単に5Cの内容をこちらで取捨選択してまとめたものです。

 

コミュニケーション (Communication)

コミュニケーションとは、1つ以上の言語で効果的にコミュニケーションし、多様な場面で、複数の目的に対応できるようになることを目標としています。

コミュニケーションの形態としては以下の3つを挙げています。

  • interpersonal communication(相手とのやり取り)
  • interpretative communication(相手を理解・解釈・分析)
  • presentation communication(自分の意見を伝達)

このコミュニケーションの領域については、「can do」 を使って、能力目標(performance indicator)も設けています。

文化 (Culture)

文化は、文化能力・理解を育むことがあげられています。具体的には以下の2つの基準をあげています。

  • 言語を用いて、学習している文化の習慣(practices)と視点(perspective)の関係性を学ぶ
  • 言語を用いて、学習している文化の文化的産物(products)と視点(perspective)の関係性を学ぶ

 

コネクション(Connection)

コネクションは、以下のように、クリティカルシンキングを養ったり、言語学習を他の教科の学習と結びつけることに関連します。

  • 言語を用いて、他の教科分野の知識を強化し、クリティカルシンキングなどを養う
  • 情報を取得し、多様な視点を養う

比較(Comparison)

比較は、言語学習を通して、言語と文化への洞察力を養うことを目標にしています。

  • 自分の言語と学習言語を比べることで、言語の本質を学ぶ
  • 自分の文化と他者の文化を比べることで、文化の概念を学ぶ

コミュニティ(Community)

コミュニティでは、ローカルにもグローバルにも、多言語社会に参画することを目標にします。

  • 言語を用いて、自分のコミュニティとグローバル世界に参画する。
  • 生涯教育の一環として学習を継続する

 

まとめ

ACTFLの「World-Readiness Standards for Learning Languages」について簡単にですがまとめました。

ACTFLの基準は、アメリカでは幼稚園から高等教育まで影響力があると思いますが、あまりアメリカ外では使われないようですね。

 

なおこの基準については(1996年版のほうですが)、Kubotaがその文化の扱いについて批判をしています。