またcritical thinkingについてです。Halpern (2013)のThought and Knowledge(第5版)の第一章を読みました。入門書なだけあって、分かりやすく、読みやすかったです。
- Halpern, Diane F. Thought and knowledge: An introduction to critical thinking. Routledge, 2002.
また、critical thinkingは冷静で計算高いといったネガティブなイメージがつきまとうことが多いとも指摘していました。
critical thinkingのいろいろな定義の1つにRussell (1960)の「Attitude (態度)+ Knowledge(知識) + Thinking Skills(考えるスキル) = Critical Thinking 」という定義がありました(p.9)。文化間能力のByram(1997)の定義でも似た様な分け方がされていたので、こういうところから影響を受けたのかなと思いました。
また、critical thinkingは、はっきりと明示的に教えないと身に着かないという研究もあるそうです(Arum and Roska (2011))(p.17)また、大学の商業化が昨今は進んでおり、critical thinkingが軽視される傾向にあるという指摘もあるそうです(Molnar, Boninger & Fogerty, 2011)。これも同じような議論を文化間教育の分野で聞いたことがあります。
この本では4つの部分に分けたモデルを提示していました (Butler & Halpern 2011, Halpern 1998)。ざっくり書くと以下のような感じです (p.18)
- critical thinkingのスキルを明示的に学ぶこと
- critical thinkingに合った気質(dispositions)を育むこと(計画性、柔軟性、粘り強さ、誤りを認める力、慎重さ、コンセンサスづくりなど)
- 他の分野にも応用できるような学習活動にすること
- 自分の思考プロセスを明確にモニターさせること(metacognitive monitoring)
こう読んでみると、critical thinkingもかなりモダニスト的な、「critical thinking」をすることが正しくていいことという考えに基づいているんだなと思いました。