「いけない」と「ならない」の使い分け
義務を表す言い方に「いけない」と「ならない」があります。
「~なければならない」「なければいけない」「~ないといけない」など様々な表現がありますが、常にどちらも使えるというわけではなく、どちらか片方しか使えないものもあります。
まず使い分けについてみてみます。
いけない | ならない | |
---|---|---|
なければ~ | 寝なければいけない | 寝なければならない |
ないと~ | 寝ないといけない | × |
ては~ | 寝てはいけない | 寝てはならない |
たら~ | 寝たらいけない | × |
と~ | 寝るといけない | × |
参考:森田良行 (2007) 「助詞・助動詞の辞典」東京堂出版, p. 91-92
これをみると、「いけない」は様々な形式に接続できますが、「ならない」のほうは接続できる形式が限られているようですね。
「いけない」と「ならない」意味の違い
①「ならない」のほうが硬い表現
どちらも似ていることも多いのですが、全体的に「ならない」のほうが硬い表現と言われることが多いようです。
法律・規則などでは「ならない」が使用される傾向があるようです。
日本法令外国語訳データベースシステムで検索すると、「しなければならない」は43775件ヒットしました。
参考:日本法令外国語訳データベースシステム(検索日2020年3月12日)
これに対し「しなければいけない」は0件、「なければいけない」と検索範囲を広げても0件でした。
参考:日本法令外国語訳データベースシステム(検索日2020年3月12日)
法律などでは「ならない」のほうが好まれるようです。
②聞き手の行為について直接いうときは「いけない」
「いけない」は、「ならない」と同様、ルール・規則などの一般論を言うときにも使いますが、聞き手の行為について直接何かを言うときにも使われるようです。
例えば、
- ここで遊んではいけない
- ここで遊んではならない
という2つの文があったとします。
もし近所の子供が道路などで遊んでいて、危ないから注意する場合などは、「危ないから、ここで遊んではいけないよ」などといったように「いけない」を使う人が多いのではないでしょうか。
聞き手の行為について直接いうときは「いけない」を使うようです。
まとめ
「いけない」と「ならない」の違いについてまとめてみました。
この違いについては、日本語学習者からもよく聞かれる質問だと思います。この記事が何かのお役に立てれば幸いです。