日本語学における「位相」とは何か

位相とは

「位相」とは、性別や地域、年齢、職業などの違いにより、用いる言葉が違うことを言います。

また、話者の社会的属性だけでなく、場面や相手が違うことにより、用いる言葉が違うことも入ります。例えば、話しことばと書きことばや、相手に応じた敬語の使用の有無なども位相に含められます。

 

  1. 何してるん?もうすぐバス、来るで!はよ、きーや。
  2. 何してるの?ママ!バスがもうすぐきちゃうよ。早く!早く!
  3. もうすぐバスの時間になりますので、お急ぎください。

 

上記の3つは同じような意味ですが、話者や使用場面が違うのがわかります。

 

上記の1は関西地方の人、2は子ども、3はある程度フォーマルな場面(バスガイドなど?)と考える人が多いのではないでしょうか。

 

(もちろん、あえて方言を使う「方言コスプレ」のようなこともありますし、言葉だけで判断するのには限界・問題はあります)

 

位相は、このように話者の属性や使用場面によることばの違いを指します。

 

また、位相によって変わる語のことを位相語といいます。

「おれ」「あたし」などジェンダーを表すことばや、「やばっ」などの若者語、「まんま」などの幼児語などは位相語に含められます。

 

 

田中(1999)の「日本語の位相と位相差」

「位相」でよく引用される田中は、以下の本で位相について以下のように定義しています。

  • 田中章夫(1999)日本語の位相と位相差. 明治書院

 

社会的な集団や階層、あるいは表現上の様式や場面それぞれにみられる、言語の特有な様相を「位相」といい、それに基づく、言語上の差異を「位相差」と呼ぶ。(田中  1999, p. 1)

 

この本の中では以下のような位相が論じられているようです。

  • 性差・世代差
  • 社会階層によることばの違い
  • 社会分野によることばの特殊性
  • 心理的要因によることばの違い(忌避・美化・仲間意識によるもの)
  • 表現様式 ・伝達方式によることばの違い
  • 多人数向けのことば(新聞・放送など)

 

まとめ

位相についてまとめました。

「位相」というのは国語学で使われる用語のようですね。「位相」の英語訳はphraseになるようです。

英語のレジスターと重なる部分はある気はします。