ミクロレベルの言語政策に関するLiddicoat and Baldauf (2008)「Language Planning and Policy」について

Liddicoat and Scarino (2008)の本

ミクロレベルの言語政策に関する以下の本の最初の2章を読みました。

  • Liddicoat, Anthony, and Richard B. Baldauf, eds. Language planning and policy: Language planning in local contexts. Multilingual Matters, 2008.

 

言語計画の三つのアプローチ:status planning, corpus planning, acquisition planning

↑なお、言語計画にはいくつかのアプローチがありますが、興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

 

ミクロレベルの言語政策

言語政策というと政府等の機関によるマクロレベルの政策等の研究が多いようですが、マクロレベルで政策を作成したとしても、実際の現場でそれがどう受け止められるかはわかりません。

例えば、日本でも「小学校での英語教育」が進められていますが、実際の現場では、同じ「英語教育」といっても、学校・教師が英語教育に熱心な場合とそうでない場合で、当たり前ですが差は出てくると思います。

つまり、現場がどの程度積極的にその政策を推進し、サポートしようとするかで、政策の影響力が大きく変わってきます

こういうミクロレベルのプロセスは、マクロの言語政策の一部であり、大切な部分だと、この本では述べています(Liddicoat and Baldauf , 2008, p. 4)。

また、ミクロプロセスを考えるときは「agency(主体性)」が鍵となるようですね(Baldauf, 2008, p. 25)

この本では、コミュニティ、教育、職場での3つの場でのミクロの言語政策についての10本以上の論文が収録されています。