参考にした本
「それに」「さらに」「その上」の違いについて調べてみました。
参考にしたのは、以下の本のp. 26-27です。
- 庵功雄・三枝令子 (2013) まとまりを作る表現-指示詞、接続詞、のだ・わけだ・からだ-
↑上級学習者のための文法演習本です。他にもシリーズがあり細かいところまでカバーしているので、上級を教えるときには役に立ちます。
「それに」「さらに」「その上」の違い
「それに」・「さらに」・「その上」はいずれも何かを付け加えるときに使いますが、以下のような違いがあるようです。(庵・三枝 2013, p. 26-27)
- それに:話しことばです。似たようなことを加えるときに使います。
- さらに:書きことば/固い表現です。似たようなことを加えるときに使います。「はじめに、次に」の後に来て、順に並べるときに多いです。
- その上:特別なことを付け加えるときに使います。また、後に意志・依頼・命令等の表現は来ません。
「それに」について
「それに」は、以下のように似たようなことを付け加えるときに使います。話しことばです。
- Aさんは、頭がいいし、それにすごく親切です。
- 最近はすごく忙しい。宿題もたくさんあるし、それにバイトもある。
- 私がこのバイトを選んだのは、仕事も楽しそうだし、時給も高いし、それに家からも近かったからだ。
「さらに」について
「さらに」も「それに」と同じく、似たようなことを付け加えるときにつかいます。
ただ、「さらに」と違って、固い表現です。また「はじめに、次に、さらに」と順番立てて話すときに使うことが多いです。
- まず、現在の日本の医療制度について説明する。 次に、医療制度の問題について検討する。さらに、他の国の医療制度とも比較したい。
- 調査の結果、スマホの使用について〇〇という結果が見られた。さらに、男女差を調べてみると、次のような結果が出た。
上記でも述べた通り、書きことば的なので、以下のようなカジュアルな場面では、理解はできますが、あまり使用しないようです。
- A:最近どう?
?B:最近すごく忙しい。宿題もたくさんあるし、さらにバイトもあるよ。
「その上」について
「その上」は特別なことを付け加えるときに使います。「その上」も「それに」よりは固い言い方です。また、後に意志・依頼・命令等の表現は来ません。
- 昨日、山田さんにご飯をご馳走してもらった。その上、お土産までいただいてしまった。
- 道に迷ってしまった。その上、運の悪いことに、雨も降り出した。
- 彼は素晴らしい学者で、その上、詩人でもあった。
上記の場合は「それに」や「さらに」でも置き換えられますが、「その上」があると、「お土産をいただいてしまった」、「運の悪いことに、雨も降りだした」「詩人でもあった」という後件に重きがおかれたり、後件が強調されることが多いようです(楊・馬場 2004, p.36)。
また「その上」の場合は、あまり意志・依頼・命令等の表現は来ないようです。
- ?明日までにレポートを書いて出してください。その上、ワークブックもやってきてください。
- ?来週、京都に旅行にいく。まず、清水寺を見たい。その上、京都に住んでいる友達にも会いたい。
上記の場合も、意味は通じるとは思いますが、あまり使わないということかなと思います。
まとめ
「それに」「さらに」「その上」についてまとめました。「それに」は話しことば、「さらに」「その上」はそれより固い表現です。
また、「その上」の場合は、後件の内容が強調されることが多いともいわれているようです。