学習者とネイティブスピーカーのディスコースマーカーの使用の違いを比較したFung & Carter (2007)を読みました。

ディスコースマーカーとは?

ディスコースマーカーの学習者の使用に関する下記の論文を読みました。

ディスコースマーカーとは、文(sentence)レベルではなく、discourse(ディスコース・談話)レベルで役割を果たすものです。

何をディスコースマーカーに含めるかは議論が分かれるところですが、and, but, orのような接続詞や、ohなどの間投詞、now, thenなどの副詞や、you know, I mean などを入れることが多いようです。

ディスコースマーカー(discourse marker)に対する3つのアプローチについて

↑詳しくはこちらをご覧ください。

 

学習者とネイティブスピーカーの違い

今回読んだ論文では、香港の中等教育のクラス会話と、イギリスの会話コーパス(CANCODE)の中でのディスコースマーカーの使用を比べていました。

 

その結果、以下のようなことが分かったようです。

  • 学習者はbut, becauseの文をつなぐ役割をする接続詞や、 I thinkなどはよく使っていた。
  • 学習者はネイティブスピーカーに比べ、you know, actually, I see, well,  sort of, say, yeahなどの使用は少なかった。

ディスコースマーカーは「and, however, because」などの文をつないだり、「Let’s start」「Let me conclude」「firstly, secondly, thirdly」のように談話の構造を示すだけでなく、相手との関係を構築するような対人的機能や認知機能があるともいわれているようです。

 

相手との知識の共有を示す「you know」や、自分の態度を表す「Well」「sort of」のように対人的機能があるといわれるディスコースマーカーの使用は少ない傾向にあったようです。また、「Yeah」より「Yes」を使う傾向もあったそうです。

 

クラスでsort ofやyou knowの使い方を学ぶといったことは少ないので、少なかったのはそれが一因かと思われます。ネイティブスピーカーのように話す必要があるかと言われると議論がわかれますが、こういった会話で出てくるディスコースマーカーの指導することは必要ではと指摘していました。

 

学習者のディスコースマーカーの使用に関する本

この論文でも引用されていましたが、以下の本でも、ネイティブスピーカーと学習者のディスコースマーカーの使用について比較しているようです。

  • Müller, Simone. Discourse markers in native and non-native English discourse. John Benjamins Pub., 2005.