診断的評価・総括的評価・形成的評価の違いと、日本語教育の評価に関する書籍

この記事では、診断的評価・総括的評価・形式的評価について紹介します。

また、日本語教育における評価について知りたい方のための参考文献も紹介します。

言語教育における評価

言語教育において評価というと以下の3つに分けて考えることが多いです。

診断的評価(diagnostic assessment)
総括的評価(summative assessment)
形式的評価(formative assessment)

 

診断的評価(diagnostic assessment)

「診断」ということばからもわかるように、学習者が何をしっていて何を知らないか、その時点の学習者の言語能力を診断するために行われる評価のことです。

診断的評価の代表的な例は、プレースメントテストです。

プレースメントテストは、新しい学校・プログラムに入った学生を、レベル別にクラス分けする目的で行われます。

言語教育の場合、プレースメントテストは、ある程度の言語学習歴のある学生を対象に行われます。

教師は、学習者の言語能力がわかりますし、学習者も自分の強み・弱みを知ることができます。

基本は授業の前に行われることが多いです。

 

形成的評価(formative assessment)

形成的評価は、学習者の学習状況をモニターし、学習を促すために行われます。「学習のための評価」ともいわれるものです。

形成的評価はコース中に行われます。

形成的評価の例は、宿題・課題、中間テスト、小テストなどがあります。

 

教師は、もし学習者が学習内容を理解をしていないことがわかれば、フィードバックをしたり、再度復習したりすることで、着実に学習内容が身に着けられるようにします。

イン・プロセス評価(in-process assessment)ということもあります。

 

総括的評価(summative assessment)

総括的評価は、学習目標がどのぐらい達成されたかを総括的に評価するものです。

プログラムやコースの最後に行われます。

学期末の最後の試験やプロジェクトなどがこれに含まれます。

この評価の結果は、基本はコースの成績にも含まれます。

学習者はこの評価を通して、授業を通して自分が言語能力が向上したことを実感できます。

教師側もクラス内容が学習者にとって適切なものだったかを判断することができます。

また、コース修了の判定にも活用されます。

 

興味のある方は

評価について興味のある方は、よろしければ以下の記事もご覧ください。

 

日本語教育関連の評価に関する参考文献

日本語教育関連の評価に関する参考文献は以下のようなものがあります。

  • 伊東祐郎 (2022). 日本語教育 よくわかる評価法. アルク

↑日本語教育における評価についてわかりやすくまとめられています。

なお、伊東は、外国にルーツのある子どもたちのための対話型アセスメント(Dialogic Language Assessment for Japanese as a Second Language (DLA))の開発者の1人でもあります。

 

  • 近藤ブラウン 妃美 (2012) 日本語教師のための評価入門. くろしお出版. 

↑近藤ブラウンはハワイ大学マノア校の教授で、継承語教育関係で数多く出版しています。

 

  • 佐藤慎司・ 熊谷由理 (2010). アセスメントと日本語教育 – 新しい評価の理論と実践. くろしお出版

↑佐藤・熊谷ともに現在の日本語教育を批判的に捉えるような著書を執筆しています。この本も新しい評価の形を探る本になっています。