語とは
単語の分類方法はいろいろあります。
そのうちの一つである単純語と合成語について紹介します。合成語は、さらに複合語、畳語、派生語の3つにわかれます。
- 単純語(simplex word)
- 合成語(complex word)
- 複合語(compound word)
- 畳語(geminate word)
- 派生語(derived word)
なお、合成語については、畳語を含めず、複合語と派生語のみで分類しているケースも多いです。
単純語
これ以上小さな単位にわけることのできない語のことをいいます。
例としては以下のようなものがあります。
- (名詞)手、雨、母、コーヒー
- (副詞)ゆっくり、すぐ、おそらく、ちょうど
- (動詞の語幹)見る、書く、聞くなどの動詞の語幹
- (形容詞の語幹)高い、安い、明るいなどの形容詞の語幹
「コーヒー」を「コー」と「ヒ―」にわけることはできません(したとしたら、意味がまったくわかりません)。
「ゆっくり」も「ゆっく」と「り」にわけると、意味がわからなくなります。
このように、単一の成分からできている語のことを単純語といいます。
合成語
合成語は、2つ以上の語が結合してできている語です。
例えば、「男女」という言葉は「男」と「女」というそれぞれ自立した語が組み合わされてできています。
「コーヒー」は2つにわけられませんでしたが、「男女」は「男」と「女」にわけることができます。
「もっともっと」という語も、「もっと」が2回繰り返されることで構成されています。
なので、「もっと」と「もっと」にわけることができます。
上記に述べた通り、合成語は、複合語・畳語・派生語に分けられます。
複合語
合成語の1つにあげられるのが、複合語です。
複合語は、自立成分が2つ組み合わされた語のことをいいます。
例えば、「男女」は「男」と「女」が組み合わされた語ですが、「男」「女」どちらも単独でも意味を成す語で自立しています。
複合語は、品詞によって複合名詞・複合動詞・複合形容詞などと呼ばれます。
- (複合名詞)緑茶、宝探し、手足、カレーライス、白黒テレビ
- (複合動詞)洗い流す、呼び出す、買い回る
- (複合形容詞)蒸し暑い、粘り強い
複合語については多く研究されています。複合語と一口にいっても構成パターンはいくつもあって、奥深いです。
日本語の複合語の特徴については「日本語の複合語の特徴について」という記事でまとめていますので、もしご興味のある方はご覧ください。
複合動詞については検索ウェブサイトもあります。ご興味のある方は「複合動詞とその検索ウェブサイトについて」という記事もご覧ください。
畳語
同じ成分の語を繰り返した語のことです。
例えば以下のようなものがあります。
- 人々、村々、星々
- どんどん、ぺらぺら、時々
日本語は畳語が多いともいわれているようです。
日本語はオノマトペが豊富といわれますが(ご興味のある方は「田守(2002)の「オノマトペ擬音・擬態語をたのしむ」読了①」などをご覧ください)、オノマトペは畳語が多いですね。
派生語
自立成分1つに、1つ以上の接辞がついた語をいいます。
接辞は、「不」「ご」「お」「再」などの接頭辞と、「化」「的」などの接尾辞があります。
例えば、接頭辞が着いたものとしては以下のようなものがあります。
- 不合格、ご祝儀、お土産、再挑戦
接尾辞がついたものは以下の例があげられます。
- 懐疑的、新規性、寒さ、かなしげ、教育上
日本語の接頭辞・接尾辞については、以下の大辞林のサイトに詳しく載っています。
- 大辞林. 言葉の世界1-5接頭語・接尾語(アクセス日:2019年3月30日)
まとめ
単純語と合成語について簡単に説明しました。
日本語の語構成にご興味のある方は以下の記事もご覧ください。
- 日本語の複合語の特徴について
- 日本語の複合動詞の2つのタイプ:語彙的複合動詞と文法的(統語的)複合動詞とその見分け方について
- 国立国語研究所の複合動詞レキシコンについて:便利な点の紹介
- 形態素(morpheme)とは何か
この記事を書くにあたって、主に参考にしたのは以下の本のp. 58-59です。
- 坂本他 (2017). 日本語教育への道しるべ 第2巻 ことばのしくみを知る 第2巻
↑全4シリーズからなる「日本語教育への道しるべ」の1冊です。いろいろな分野が網羅されているので、日本語教育の概要を知るには便利だと思います。
なお、たまたまこの本が手元にあったので参考にしましたが、語構成については、日本語概論の本だとだいたい出てくるのではないかと思います。