行動中心アプローチ(action-oriented approach)とは
CEFRは行動中心アプローチ(action-oriented approach)というものを採用しています。
行動中心主義では、「言語を使って何をするか」という点に重点を置いています。
過去は(今も?)、語学の授業だと、まず簡単な文法を学び、その後どんどん複雑な文法も学ぶという文型積立式になっていることがよくありました。
行動中心アプローチでは、文法が先にあるのではなく、「自己紹介する」「誰かを誘う」「買い物をする」などの現実上タスクがあって、そのために必要な言語や文型を学ぶという視点を持っています。
前もいったとおり、このCEFRは民主的な市民性を育むことを目的にもしているので、言語知識を蓄えるような言語学習のための言語学習でなく、言語を使って、自分のやりたいことや、しなければならないことをできるようにするための言語学習を重視しています。
また、CEFRの中で、学習者は「社会的エージェント(social agent)」ととらえられています。社会の中で、主体的に行動する者というような意味ですが、ここでも社会に参画することを重視しているのがわかります。
Can-do
CEFRの共通参照レベルでは、初級・中級・上級の基準を記載する際に、このレベルの学習者であれば、「○○ができる
」というように、「Can Do(~ができる)」という言い方を使っています。
例えば、初級のA1レベルの基準としては以下のように書かれています(Council of Europe, p. 24)(赤字は追加)
これを見るだけでも「Can」という言葉が多くつかわれているのが分かると思います。
複雑な文法を知っているかではなく、学習言語を使って何ができるかというのが、レベルを判断するときの基準となっています。
まとめ
3回にわたってCEFRについて記載しました。
もっと知りたい方は以下のような本も出版されているようです。
- キース・モロウ(編)、和田他(訳)ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)から学ぶ英語教育. 研究社. 2013
- 奥村 三菜子・櫻井 直子・鈴木 裕子 (2016) 日本語教師のためのCEFR. くろしお出版