参考にした本
「だろう」と「のだろう」の違いについて調べてみました。
参考にしたのは以下の本です。
- グループジャマシイ『日本語文型辞典』1998. くろしお出版
また、以下の本のp. 13-15も参考にしています。
- 三枝 令子 (2003). 日本語文法演習 話し手の気持ちを表す表現―モダリティ・終
助詞 . スリーエーネットワーク
*以下は上記の本の情報を参考に、私の理解している範囲で、情報などを適宜付け加えたものです。
「のだろう」
「のだろう」というのは「のです」と「だろう」が合わさった形です。
「のです」の用法の一つには、「前の文で述べたことや、その場の状況などについて、その原因や理由などを説明」(グループジャマシイ 1998 p. 466)というものがあり、「のです」を使用するには文脈が必要とよくいわれます。
「のだろう」の場合、この「のです」が入っているので、ただ推量するのではなく、見たり聞いたりしたことについて、その原因や理由を推量するときに多く使われます。この「見たり聞いたりしたこと」という文脈がポイントになってきます。
例えば、
電気が消えている。きっと留守なんだろう。
この場合、「電気が消えている」という情報を受けて、それは「留守」なのが原因だという推測をしています。
ちなみに「のだろう」は会話ではよく「んだろう」になります。
- 車が全然動かない。事故があったんだろう。
- 人前で泣いたことのないAさんが泣いたらしい。本当に悔しかったんだろう。
この場合も、「車が全然動かない」や「Aさんが泣いた」という見聞きしたことについて、その原因を推量しています。
「だろう」
「だろう」の場合は、単なる推量の意味や、ときには話し手の判断を、ややぼやかしていうこともあります(グループジャマシイ 1998, p. 218)。
- 東京はまだ暖かいが、北海道はもう寒いだろう
- 明日はきっといい日になるだろう。
- ビザなしで旅行できたら、とても便利になるだろう。
1~3の文の場合、「見聞きしたことについて、その原因や理由を推量」するのではなく、ただ「北海道は寒い」「晴れる」「とても便利になる」ということを推測する意味になっています。
「のだろう」のように文脈を必要とはしないので、2や3の文のように、見聞きしたこととは関係なく、「だろう」は使えます。
疑問詞が入る場合
疑問詞(どこ、だれ、何)が入る場合は「のだろう」が普通使われます。
- だれがそんなことを言ったんだろう。
- あれ?お父さんはどこにいったんだろう。
まとめ
「だろう」「のだろう」について書きましたが、この記事を書くために、ウェブでの使用などを調べてみると、なかなかこの説明には当てはまらなそうな文もありました。
また知り合いに「だろう」と「のだろう」の入った例文を聞いてもらうと、人によって文法判断が違ったので、使用には個人差もあるようです。単文でいうと、特にわかりづらいかもしれません。
これで全部説明できるとは思いませんが、参考になればうれしいです。