日本語の作文・ライティング授業で使える日本語中上級学習者向けの教材のまとめ

中上級レベルのライティング指導について

中上級レベルのライティング指導で役に立ちそうな教材を紹介します。

 

留学生のためのここが大切 文章表現のルール

  • 石黒圭・筒井千絵 (2009) 留学生のためのここが大切 文章表現のルール.  スリーエーネットワーク

文法・文型、文字・表記、語彙・意味、談話など、中上級レベルで文章を書くためのポイントを押さえた教材です。

自動詞や他動詞、呼応(~というのは~ということだ、なぜなら~からだ)など、実際に中上級者が間違いやすいポイントを網羅しているので、個人的には作文のフィードバックの際に複数の学生が間違えていた項目を強化するために、これを使用することがあります。それぞれの課に練習問題もついているので、助かります。

また、「話し言葉・書き言葉」の違いの章では、話し言葉・書き言葉の違いが表になっているのですが、これは助かるという学習者が多いです。

文法・表記・語彙だけでなく、第5部の実践編ではレポートの基本的な書き方やEメールの書き方なども紹介しています。

なお、著者の石黒圭は以下のような指導書も出版しています。

  • 石黒 圭 (2014) 日本語教師のための 実践・作文指導. くろしお出版

↑これは作文授業の組み立て方も記載しているようです。

 

中級からの日本語プロフィシェンシー ライティング

  • 由井紀久子他(2012). 中級からの日本語プロフィシェンシー ライティング. 凡人社

このプロフィシェンシーライティングは、アポイントをとる、伝言する、募集する、問い合わせる、自己PRを書くなど、様々な場面・状況で、読み手を意識して、有効な文章を書けるようにするということに主眼を置いた教材です。

その場面場面で役に立つ表現が紹介されていたり、いくつかの文章を比較させてその問題点を考えさせたり、実際に書くときのチェックリストなどが用意されていたりと一歩一歩理解を深めていけるようになっているので、授業を組み立てる際に大変参考になります。

 

Good Writingへのパスポート: 読み手と構成を意識した日本語ライティング

  • 田中真理・阿部新(2014) Good Writingへのパスポート: 読み手と構成を意識した日本語ライティング. くろしお出版

タイトルにもあるとおり、読み手と構成を意識させるようなライティング教材です。

誰に向かって書くのか、何を書くのか(内容)、どのモードを使って書くのか(どのようなジャンルに書くのか、そしてそのジャンルがナラティブなのか、意見文なのか、描写なのか)、どのような流れで書くのか(構成・結束性)を意識させるようになっています。

1年間の授業で全体を終えることを想定しており、実際に文章を書くためのタスクなどもあります。

ただ、基本はこれは日本語母語話者向けに書かれたものなので、教科書内の説明をそのまま使うと、中級学習者には理解が難しいかと思います(教師側でかなりアレンジする必要があるかと思います)。もしそのまま教科書を使うのであれば、上級クラスがいいのではと思います。

 

まとめ

日本語中上級レベルのライティング指導で便利な教材について紹介しました。

今後も適宜加筆していければと思っています。

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