アクセント・イントネーション・プロミネンスについて
この記事では、アクセント・イントネーション・プロミネンスの違いについて説明します。
簡単にまとめると以下のようになります。
- アクセント:語ごとの音の高さや強さ
- イントネーション:句や文、発話における高さの変化
- プロミネンス:文中の特定の要素に強勢をおくこと
以下、詳しく説明します。
①アクセント
アクセントとは、基本は語ごとの音の高さや強さのことです。
個人差もありますが、それぞれの言語や方言で語の読み方というのは慣習的に決まっています。
例えば、英語だと「however」をいうときに[hauévər]と発音し、「ever」の最初の「e」を普通、強く言います。
「discussion」を読むときは、[diskʌ́ʃən]と発音し、「cus」を強くいいます。「dis」のところを強く読むことはあまりないでしょう。
日本語の場合は、音の強弱ではなく、音の高低が重要になります(庵 2012, p. 25)。
例えば、共通語で「犬」だと「い」が低くて、「ぬ」が高くなります。この場合、アクセントは「低高」になります。
共通語を話しているときに、「い」を高くいって、「ぬ」を低く言うと、違和感を覚える人も多いでしょう。
「猫」の場合は、「ね」が高くて、「こ」が低くなりますので、アクセントは「高低」になります。
「ありがとう」だと「低高低低低」になりますし、「おもしろい」だと「低高高高低」になります。
日本語はこのように高低でアクセントを表すため高低アクセント(ピッチアクセント)といわれています。
英語は高低ではなく、強さ・弱さでアクセントを表すので、強弱(強勢)アクセント(ストレスアクセント)と言われています。
日本語のアクセントの辞典としては以下のようなものがあります。
- NHK日本語発音アクセント新辞典. 2016. NHK放送文化研究所
②イントネーション
イントネーションは、個々の語ではなく、句や文、発話における高さの変化のことをいいます(庵 2012, p. 27)。
アクセントよりももう少し大きな単位での高さの変化というイメージです。
例えば「明日は休みですか」といった場合、文末を上げると疑問となり、文末を下げるとその事実を知り、納得したという意味になります。
イントネーションは上昇調(↑)、自然下降調(→)、下降調(↓)があります。
イントネーションによって、質問形か、相手が強く主張しているのかなど、相手の意図を伝える機能があります。
また、発話が終わるときは下降調で言うことが多いです。イントネーションは、発話が終わるのか、続くのかも伝えることもできます。
それだけでなく、文の構造の違いもイントネーションによって示すこともできます。
例えば、「かわいい妹の犬」という文の場合、「かわいい」が「妹」を修飾するのか「犬」を修飾するのかわかりません。
イントネーションの違いによって、どちらの意味なのかがわかるようになることも多いです。
③プロミネンス
プロミネンスは文中の特定の要素に強勢をおくことです(庵 2012, p. 28)。
例えば、「私は東京の大学で勉強しています。」という文の場合、「東京」を強くいうと、その「東京」という情報の重要性を際立たせることができます。
このように特定の要素を音声的に強調することをプロミネンスといいます。
まとめ
アクセント・イントネーション・プロミネンスの違いについてまとめました。
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- 音声学とその3つの分野(調音音声学・音響音声学・知覚音声学)について
- 音声学(phonetics)と音韻論(phonology)の違いについて
日本語の音声に興味のある方は以下のような本もあります。
- 松崎 寛・河野 俊之(2018)『日本語教育よくわかる音声』アルク