日本語のモダリティの益岡の研究についての覚書

日本語モダリティの研究

日本語のモダリティについては学者によってその範囲や分類方法も多様で、英語のモダリティとは違う分け方をしていることが多いのでかなり複雑です。

なお、英語のモダリティについては下記の記事もご覧ください。

日英モダリティに関する黒滝(2005)の「DeonticからEpistemicへの普遍性と相対性」を読みました。

 

益岡(1991)のモダリティ研究

  • 益岡隆志(1991)『モダリティの文法』くろしお出版. 

益岡は日本語のモダリティ研究の第一人者の一人ですが、上記の本ではモダリティについて「文=命題+モダリティ」といっています。

「命題」とは客観的な事柄を表す部分で、「モダリティ」は主観的な判断・態度を表す部分のことです(p. 6)。

モダリティという概念を規定するには基本的に「主観性の言語化されたもの」という見方が必要となるといっています(p. 30)。

また、モダリティは以下のようなものを挙げています。またモダリティを、命題を包み込んでいくという形の階層的構造で説明しています(p. 44)。

  • 取りたてのモダリティ
  • テンスのモダリティ・みとめ方のモダリティ
  • 説明のモダリティ
  • 価値判断のモダリティ・真偽判断のもだりてぃ
  • 表現類型のモダリティ
  • ていねいさのモダリティ・伝達態度のモダリティ

 

益岡(2007)のモダリティ研究

  • 益岡隆志(2007)『日本語モダリティ探究』くろしお出版.

 

ただ、益岡はその後モダリティの範囲・定義をかなり変更しており、上記の本ではモダリティを以下のように分けています(p. 5)

  • 判断のモダリティ(真偽判断のモダリティ・価値判断のモダリティ)
  • 発話のモダリティ
    • 発話類型のモダリティ
    • 対話のモダリティ(丁寧さのモダリティ、対話態度のモダリティ)
  • 特殊なモダリティ(説明のモダリティ、評価のモダリティ)

このそれぞれの説明についてはまた別の記事でできればと思います。