下記の動画を視聴しました。
- “Practice Theory in Language Learning,” Richard Young, Wiley. 2013
これはlanguage learningに掲載された以下の論文に基づく動画です。
- Young, R. F. and Astarita, A. C. (2013), Practice Theory in Language Learning. Language Learning, 63: 171–189. doi:10.1111/j.1467-9922.2012.00743.x
SLAの「Language」についての批判
Second Language Acquisition (SLA)の「A」、すなわち「Acquisition」については、この前のLarsen-Freemanの論文でもあったように、「Acquisition」ではなくて「Development」なのではないかと批判されていました。
この動画で、YoungはSLAの「L」、すなわち「Language」の部分も、言語に限定するのは問題なのではないのではないかと疑問を投げかけていました。
このまえのmulti-modalityの記事でも書きましたが、言語学習というのは、言語そのものだけではなくて、ジェスチャー、体の動き、社会・歴史・文化背景なども関係するもの、と言われています。Youngも「Language」に限定すると、その他のものが無視されてしまうと述べていました。
Practice theory
また、1970年代から発展したPractice theoryが言語学習でも応用できるのではといっていました。Practice theoryというのは、日々の人々の日常的実践(日常的な慣習)に注目した理論のようで、ただその場の会話だけでなく、社会・歴史的背景も考慮に入れた理論のようです。(具体的にはブルデュ、ミシェル・ド・セルトー、フーコー、ギデンズ、ゴフマンなどを引用していました。)
これを応用することで、アイデンティティや言語社会化について考えるときにも、その場でのやり取りや個々人の内省のみでなく、社会・歴史的背景も考慮に入れた考察ができるのではと言っていました。
Richard Youngの本
読んではいませんが、Youngは本も出版しているようです。
- R. F. Young. (2009). Discursive practice in language learning and teaching. Malden MA, & Oxford, UK: Wiley-Blackwell.
- R. F. Young. (2008). Language and interaction: An advanced resource book. London & New York: Routledge.
↑Routledge社のResource Bookのシリーズでも出版しているようです。