HallidayとMartinのregisterに対する立場の違いについて

この前、Systemic Functional Linguistics(SFL) について紹介しましたが、一口にSFLといっても学者・学派によって言葉の定義が異なるようです。

今日はHallidayとMartinのregisterに対する立場の違いについて調べてみました。

Hallidayの立場

Hallidayは、registerのこと「 semantic configuration」(Halliday, 2002 [1977], 1985)と定義しています。

  • Halliday, Michael A., and Ruqaiya Hasan. “Language, context, and text: Aspects of language in a social-semiotic perspective.” (1989).

 

この「semantic(意味)」という言葉にもあるように、Hallidayにとっては、レジスターというのはその場面に応じた言語の変種のことをいうようで、日本語では言語使用域とも言われるそうです。

例えば、「約束をする」という行為を一つとっても、実際の1つ1つの場では、誰と約束するか(先生・友達)、どうやって約束するか(メール、電話、対面等)、何の約束をするかによって、使う言葉の選択肢は変わってきます。

同じ「約束する」という行為でも、相手が先生だった場合は「明日、お時間ありますでしょうか」、友達だったら「明日、時間ある?」と使われる言語が変わってきます。

この場面による言語の違いを「レジスター」と呼んでいるようです。

Martinの立場

Martinは、レジスターは、言語の変種ではなくて、状況そのものを指すようです。(詳しくは、この前の「選択機能体系言語学(SFL)ジャンル(genre)とレジスター(register)の違いについて調べてみました。」の記事をご覧ください。)

  • Martin, J. R. (2009). Language, register and genre. In C. Coffin, T. Lillis, & K. A. O’Halloran (Eds.), Applied Linguistics Methods: A Reader: Systemic functional linguistics, critical discourse analysis and ethnography (pp. 12–32). London: Routledge

上記の「約束する」という行為では、「何の約束をしているのか」「話し手と聞き手の関係は?」「メッセージが伝達される媒体は何か」などがRegisterの領域に入るようです。Hallidayだとレジスターというとその場面で使われている言語に注目していますが、Martinの場合は言語ではなくて、どんな状況なのかに注目しているようです。

 

*これは私が現時点で理解している範囲です。間違えているかもしれないので、また本を読む中で随時更新していこうと思います。