バトラー後藤の『英語学習は早いほど良いのか』という岩波新書を読みました。
- バトラー後藤裕子(2015)『英語学習は早いほど良いのか』岩波書店
今までの先行研究をもとに、早期外国語学習について検討していました。
年齢と言語習得との関係については不明確なことは多いのですが、習得開始時期だけではなく、良質なインプットをどれだけ得られたかが重要になってくるとバトラー後藤は指摘していました。
この本で私が個人的に印象に残っているのはフレーゲらの研究です(p. 57-58)。発音については、一般的に早期に学んだ学習者のほうがいいという報告がなされているのですが、ただ、学習開始時期が早い場合も、外国語アクセントが残るケースもあるようです。
フレーゲらは、それには母語の使用頻度が影響しており、母語の音韻システムがしっかりしていると、外国語アクセントが強くなると指摘したようです。
日本語母語話者が英語を勉強するときに、英語をどうしてもカタカナ読みしてしまう(日本語の音韻システムを通して英語を学んでしまう)などがその例なのかなと思います。
なので、決して正確な発音を習得する力が年齢に応じて衰えるからというわけではないようです。
- バトラー後藤裕子.(2005).『日本の小学校英語教育を考える:アジアの視点からの検証と提言』東京:三省堂.