統計の自学シリーズです。第10回目の今日も下記の本の第5章を読み、いろいろな統計テストについて学びました(p.131-147) 。
- Larson-Hall, Jenifer. A guide to doing statistics in second language research using SPSS and R. Routledge, 2015.
Multiple regression (重回帰分析)
重回帰分析も複数の変数の関係を調べるものですが、その目的は、独立変数が従属変数にどう影響を及ぼすかを調べるというものだそうです。
例えば、ネイティブレベルのフランス語を習得するための原因として、どういったものがあるかを調べたかったとします (p. 133)。その際に、学習開始年齢、モチベーション、発音指導など、複数の独立変数がどの程度結果に影響を及ぼしているのかを調べるのが重回帰分析だそうです。
重回帰分析は以下のような特徴があるそうです(p. 134)
- 変数は2つ以上
- それぞれの変数にはレベルの違いなどはない
- これらの変数の平均値をとると、平均値は3つ以上出てくる
- 変数はすべて連続変数である
- 一つの変数は従属変数でなければならず、残りは独立変数である。
重回帰分析を使ったSLA研究としては、Dethorne et al. (2005)、Zareva (2005)、Paavola et al (2005)などがあるそうです。
例えば、Zareva (2005)の語彙に関する研究では、自己申告の語彙知識や語彙量、連想語彙数などの複数の要因のうちどれが実際の語彙知識の予測に使えるかというものを重回帰分析を使って調べたそうです。
過去のシリーズです。
- 第1回目:第二言語習得研究における統計①:参考書の紹介
- 第2回目:第二言語習得研究における統計②:SPSSとR
- 第3回目:第二言語習得研究における統計③:変数
- 第4回目:第二言語習得研究における統計④:Null Hypothesis
- 第5回目:第二言語習得研究における統計⑤:Inferential statistics(推計統計)とdescriptive statistics(記述統計)
- 第6回目:第二言語習得研究における統計⑥:p-value(p値)
- 第7回目:第二言語習得研究における統計⑦:degree of freedom(自由度)
- 第8回目:第二言語習得研究における統計⑧:Correlation
- 第9回目:第二言語習得研究における統計⑨:Partial correlation