文化翻訳について少し調べてみました。
参考にしたのは以下のPym (2009)の翻訳理論についての本の中の一章です(p.143-164)。
- Pym, Anthony. Exploring translation theories. Routledge, 2009.
この本は日本語にも翻訳されています。
- アンソニー・ピム. “翻訳理論の探求.” 武田珂代子訳 みすず書房 , 2010.
Pymは文化翻訳といっても定義も様々だと言っていますが、Bhabhaを参考に、以下のような特徴をあげています。
- 起点言語テキストがなく、普通はきっちりとした形の目標言語テキストもない。
- テキストではなく、翻訳者の視点に立ってプロセスを考える。
- 翻訳者の仲介者としての役割に着目
ただ、テキストよりもプロセスに視点を置く考えは文化翻訳の前からも議論されていたとも指摘しています。
文化翻訳というのは、もともとは社会人類学に由来する用語のようですね。
また、Bhabhaの著作の他、文化翻訳の視点は、翻訳社会学のアクターネットワーク理論(これが何なのか読みましたがいまいちわかりませんでした)などでも見受けられるといっていました。