NVivoとは?
Nvivoは質的研究のデータの整理・分析のためのソフトウェアです。
(高額なので、大学などで購入していない限り、簡単に購入できるようなものではないかもしれませんが)
- 林 真(2017). NVivoレファレンス. 工学社
- Bazeley, Patricia, and Kristi Jackson, eds. Qualitative data analysis with NVivo. Sage Publications, 2013.
↑Nvivoの使用説明書です。
私はNVivoをもう10年弱使用していて、質的データの分析ではなくてはならないソフトウェアになっています。
この記事では、詳しい説明は省きますが、いったいNVivoの何がそんなに便利なのかという点について説明したいと思います。
NVivoの便利な点①:データ整理
質的研究のデータは膨大になりがちで、整理が非常に大変なのですが、Nvivoだと、PDFファイル、音声、動画、ワードファイルなど様々な形態のデータをインポートし、1つのプラットフォームで保存・整理することができます。
ただ、これについては他のソフトウェアなどでもできることかもしれません。
NVivoの便利な点②:データのコード化作業
NVivoのとても便利なところの1つはまず、データのコード化が楽なことです。
例えば、30人に大学生活についてインタビューをしたとします。そのインタビューを文字化したファイルが30個あり、その中で、例えば「サークル活動」について話しているところだけを抽出したいとします。
これをNVivoなしでするとすると、新たに「サークル活動」というワードファイルを作り、1つ1つのインタビューファイルをいちいち開けて、関連しているところをコピペなどして取り出すという作業が必要になると思います。
これだけでも面倒ですが、分析の途中でその「サークル活動」というカテゴリーの中の内容を修正したくなった場合(例えば、始めは学内のサークル活動のみを入れていたが、やはり学外のサークル活動も入れたいと思った場合など)、すべてのファイルをもう一度チェックしなおさなければならなくなり、確認作業がとても面倒です。
NVivoを使うと、この作業が一つのプラットフォームで簡単にできます。
NVivoでは、「サークル活動」というNode(テーマ)を作成し、各ファイルの「サークル活動」に関連しているところを、どんどんそのNodeとしてマークアップしていくだけでいいのです。
途中で「サークル活動」の内容を修正したい場合も、そのマークアップしたところを削除すればいいだけなので、非常に簡単です。
最後に「サークル活動」というNodeをクリックすると、マークアップしたものの一覧が見られるようになります(つまり「サークル活動」に関連するインタビューの部分が一覧で出てきます)。その一覧を見ながら、コード内に齟齬がないかなども、簡単に確認・修正できます。
また、「サークル活動」の中に「学内サークル活動」と「学外サークル活動」のようなサブテーマを作ることも、「サークル活動」を「授業外活動」と統合するなどといったことも簡単にできます。
NVivoの便利な点③:データの分析作業
NVivoでさらに便利なところは、分析作業を助けてくれることです。
例えば、30人のインタビューのコード化作業が終わった後、コードの結果に男女差があるか、知りたくなったとします。
この場合、あらかじめ30人の属性をNVivoに登録させておけば、Matrix Codingという機能を使って、男女差などを調べることもできます。
男女差だけでなく、言語レベルや経験年数など、属性は自由に設定できるので、自分が調べたい属性による違いを簡単に調べることができます。
それ以外にも、コード化さえ終わっていれば、カテゴリー間の関連性を調べたり、条件に合うカテゴリーを探したり、ある単語の数を抽出したりなどといったこともできます。
まとめ
NVivoは非常に便利で、分析が効率化できるので、重宝しています。
(特にコード化作業と分析作業は、NVivoなしでやるのは多大な労力が必要だと思います。)
データを入れすぎるとファイルが重くなってしまうのが欠点ですし、使いこなせるまでは時間はかかりますが(私もすべての機能を使いこなせているわけではありません)、一回この便利さが分かると手放せなくなり、私は質的データの分析の際には必ずといってもいいほどNVivoを使用しています。