言語復興における規範(norms)やネイティブスピーカーの役割など論じたSpolsky(2002)を読みました。

Bernard Spolskyは言語政策・マルチリンガリズムなどで著名な学者で、以下の本は言語政策関連のコースで課題図書となることも多いかと思います。

  • Spolsky, Bernard. Language policy. Cambridge University Press, 2004.

今回は、以下の本に収録された、Spolskyの短い論文を読みました。

  • Spolsky, Bernard. “Norms, native speakers and reversing language shift.” Pedagogical norms for second and foreign language learning and teaching: Studies in honour of Albert Valdman (2002): 41-58.

この論文では、Fishmanが提唱したReversing language shift(言語シフトを逆行させるプロセス)についても言及していました。

Spolskyは、絶滅の危機にある言語を復興させようとするときも、その言語の変種の中からどの変種を教育言語に選ぶかなど、規範の問題が出てくるといってきました。

復興させようとする言語のネイティブスピーカーが存在している場合は特に、この規範を選ぶのは難しくなるといっていました。

また、ネイティブスピーカーはその言語の大切な保持者であるものの、現実には社会的に孤立した老人(socially isolated old folks)(Fishman 1991, 88, cited in Spolsky 2002, p.52)である場合が多く、ネイティブスピーカーの役割・地位も難しいものがあるようです。

ヘブライ語やイギリスのコーンウォール語のようにネイティブスピーカーがいないほうが、言語復興の際には、自由裁量でどういった言葉を教育言語とするかなどを決められるとも指摘していました。