以下の本の主に後半部(第6章~第9章)を読みました。
- Doerr, Neriko, and Kiri Lee. Constructing the heritage language learner: Knowledge, power and new subjectivities. Vol. 103. Walter de Gruyter, 2013.
補習校は短期で日本国外に居住する児童向けに授業を行うケースが多いと思いますが、現在は、短期滞在者のみならず、長期滞在者、特に日本に居住する予定のない永住者などそこに通う児童も多様化しています(Doerr and Lee 2009)。
この本はJackson Japanese Language Schoolという北米の言語学校(仮名)での4年間にわたる質的研究をまとめたものです。この学校では文科省の学習指導要領に基づいた国語中心の補習校部の他、Jackson Courseといういわゆる「継承語学習者」向けのコースも併設しています。
(ちなみにこの前の記事でも書きましたが、継承語学習者の定義そのものについても議論されています。)
この本では「継承語学習者」というのを確立したカテゴリーとしてとらえるのではなく、社会的に構築された概念だとして、主にJackson Courseでの調査を通して、ある者がどう継承語学習者とみなされるようになるのか、そして継承語学習者としてみなされた場合どうなるのかなどを調査しています。
私が今回主に読んだのは後半部ですが、いくつか興味深い点もありました。これについてはまた記載しようと思います。