少し前の記事で紹介した無料オンラインコースEdxの言語復興に関する5回の授業を受講しました。講師はオーストラリアのアデレード大学のGhil’ad Zuckermann(ギラード・ツッカーマン)とRob Amery です。
↓第1回のみはYoutubeでも見れます(2015年9月現在)。
言語復興とは、絶滅した又は絶滅しそうな言語を復興させるというものですが、第1回目の講義では、なぜ言語復興が必要なのかを倫理的、美的、経済的等様々な側面から検討していました。講師が2人ともオーストラリアの大学で働いていることもあって、オーストラリアのアボリジニの言語を例にすることが多かったです。
理由は多数挙げていましたが、そのうちのいくつかを挙げると以下のようなものがあるようです。
- 誰もが母語を話す権利があること
- 個々の言語はその言語特有の言い回しや表現があり、これらが喪失してしまうのは非常に惜しいこと。多様性には審美的価値もあること。
- 母語を話すことでメンタルヘルスの面でも好影響があること
- バイリンガリズムは認知症を遅らせる効果があるという研究等もあり、複数の言語を話すことが全般的に認知的・認知面以外でもプラスの影響があること
- 言語復興することにより文化観光が盛んになること
また、言語喪失については、「genocide」から造られた「Linguicide」(言語抹殺)や、「glottophagy」(言語吸収)という造語もあるようですね。
上記のバイリンガリズムの説明などは、言語学習一般を推進する論拠にはなっても、特に「絶滅言語」の学習を推奨する論拠にはなってないんじゃないかなとも思いましたが、言語復興は、なぜそれにお金と労力をかける価値があるのかという点を説得しなければならなくなる場面が多いのだろうなと思いました。(他の分野もその根本的意義を考える必要はあるのでしょうが、言語学習などは特にその存在意義をこのように主張する場面は多くないように思います・・・)