この本の中のKern(2003)の論文を読みました。
- Kern, Richard. “Literacy as a new organizing principle for foreign language education.” Reading between the lines: Perspectives on foreign language literacy (2003): 40-59.
Kernは他にもリテラシー関係でいろいろ書いている学者です。
リテラシーというと「読み書きのスキル」と思われがちですが、Kernは、リテラシーをただの読み書きのスキルとしてとらえるのではなく、読み書きの社会的側面を考えていかなければならないと言っています。
社会的側面というのは、ただ文章を読んで理解するだけでなく、どういった社会・歴史・イデオロギーなどが文章に含まれているかを読み解く力ということだと思います。また、ブログやフェイスブックなんてものは昔は存在しなかったわけなので、自分たちの読むという行為そのものがある特定の社会的行為なのだと理解することも含まれると思います。
最近リテラシーを「social practice(社会的実践)」と捉えたり、「マルチリテラシーズ(multiliteracies)」(New London Group 1996)と複数でリテラシーを捉ようとする流れが出ていますが、Kernもその流れに沿うものだと思います。
Kernのリテラシーに基づく教授法では「Responding」「Revising」「Reflecting」の3つのRが必要になるといっていました。
- Responding(答える):
自分が読んだテキストや他の学生・教師の意見に何らかの反応をすること。また、書き手が暗示していることに答えること等。 - Revising(見直す):
読み直し、書き直し、考え直し、捉え直し、語彙を選び直すこと等。 - Reflection(熟考する):
書き手の意図や信念、態度、文章以外の要素(社会的背景など)、自分の言語使用などについて考察すること等。
3つのRは覚えやすそうでいいですが、Reflectionがどういうものなのかなどもうちょっと詳しい説明があるとありがたいかもしれません(別の本などで説明しているのかもしれませんが・・・)