Dörnyei & Ushioda(2009)のモチベーション、言語アイデンティティ、L2 Selfに関する本の序章を読みました。

Zoltán DörnyeiもEma Ushiodaもモチベーション関係の研究で非常に有名な研究者ですが、この2人が編者を務めた以下の本の第1章だけ読んでみました。

  • Dörnyei, Z., & Ushioda, E. (Eds.). (2009). Motivation, language identity and the L2 self. Bristol: Multilingual Matters.

 

モチベーションといえば、Gardner & Lambert (1972)の統合的動機付け(integrative motivation)と道具的動機付け(instrumental motivation)という分け方が有名です。

ざっくりいうと、前者は自らが学ぶ言語を使うコミュニティについて理解し、その一員になりたいという動機で言語を学ぶというもので、後者の方は、試験合格など、ある具体的な目標のために言語を学習をするということです。

ただ、この統合的動機付け(integrative motivation)については再考が求められていると言っていました。

なぜなら、最近は一口に「英語」といっても、アメリカ英語、イギリス英語、World Englishと多様で、英語をベーシックなスキルとして考えられることも多くなっているからです。英語を学ぶ学習目的が必ずしもある特定の地理的・民族的コミュニティに入りたいからというわけではないのではと疑問が呈されているようです。(Dörnyei and Ushioda p. 3)

この序章では、モチベーション研究は、「Self」と「アイデンティティ」を取り込んで理論化していくことが必要なのではといっていました。

「Self」というのは、第二言語を使ってどんな自分でありたいか、またはどんな自分にならなければいけないかということに関係しているようです。

アイデンティティについては、Nortonのinvestment(投資)の概念(詳しくはこちら)などを挙げていました。

 

DörnyeiとUshiodaは以下の本も上梓しているようです。

  • Dörnyei, Z., & Ushioda, E. (2011).  Teaching and Researching: Motivation (Applied Linguistics in Action) (2nd ed.). Harlow: Longman.