質的データの分析方法の一つとしてgrounded theory というのがあります。
「grounded theory approach」など言われることも多く、研究手法の一つとして使われています。
研究といえば、何かの仮説を立ててそれを実証していく場合が多いですが、grounded theoryの場合は、前もって仮説を立てるということはせず、データを分析する中で「仮説」や「理論」を導き出していくことを目的としています。
データ収集や分析の仕方などは結構細かく決められています。
grounded theoryは最初は以下の本で提唱されました。
- Glaser, Barney G. and Anselm L. Strauss. “The discovery of grounded theory; strategies for qualitative research.” Aldine De Gruyter, 1967.
ただ、その後、Glaser & Straussの初期のgrounded theoryに修正を加えたものもでてきているようです。一口に「grounded theory」といっても、どの学者のものを根拠とするかで研究手法は変わってくるようです。
- Strauss, Anselm, and Juliet Corbin. Basics of Qualitative Research: Techniques and Procedures for Developing Grounded Theory. Newbury Park, CA: Sage, 1990.
上記の本は和訳も出版されています。
- アンセルム・ストラウス,ジュリエット・コービン. “質的研究の基礎 グラウンデッド・セオリー開発の技法と手順.” 第 2 版) 操華子, 森岡崇訳 東京: 医学書院 (2004).
また、GlaserやStraussは実証主義(つまり「真実」が存在しそれを探求する)という立場でgrounded theoryを提唱しているのですが、そうではなくて社会構成主義(客観的や絶対的な物事はなく、社会的に構築されていると考える立場)の立場からgrounded theoryを捉えなおした本もあります。
- Charmaz, Kathy. Constructing grounded theory. Sage, 2014.
この本も和訳が出版されています。
- キャシー, シャーマズ (2008). グラウンデッド・セオリーの構築: 社会構成主義からの挑戦. ナカニシヤ出版 (抱井尚子, 末田清子訳) .