この前の記事の続きです。以下の本を読んでいます。
- Scollon, Ron, Suzanne Wong Scollon, and Rodney H. Jones. Intercultural communication: A discourse approach. John Wiley & Sons, 2011.
第2章では、「Grammar of context」について紹介していました。
言語には文法がありますが、それと同様に、職場、飲み会、家庭など、ある状況で何が起こっているかを理解し、その状況で自らが振る舞っていくためのルールのようなものを「grammar of context」といっているようです。
Scollon & Scollonは、Grammar of contextとして7つの要素をあげていました(p. 30-31)。
- Scene:時間や場所、目的、トピック、ジャンルなど
- Key:コミュニケーションのトーン・ムード
- Participants:参加者が誰か、各参加者の役割
- Message form:話し言葉・書き言葉・沈黙・その他のメディアなど、コミュニケーションの形態
- Sequence:出来事が起こる順番
- Co-occurrence patterns:ジョークというジャンル(setting)がユーモラスなトーン(key)と共起しやすいなど、各要素が共起するパターン
- Manifestation:各要素が明示的に提示されるか否か
以上のようなことに知識を持っていなかったり、参加者の間で認識が異なっている場合だと、誤解等が生まれることもあり、こういったGrammar of contextへの知識の有無が、そのdiscourse systemに自分が所属しているかどうかを示す重要な鍵になるともいっていました。(p. 40)
ちなみに「discourse system」というのは、コミュニティのメンバーで使われるコミュニケーション体系(broader systems of communication in which members of communities participate)のことを指すそうです(p. 9)。