上記の本の中のジェンダー関係のデータの分析方法についての論文をいくつか読みました。
その中で面白かったのが、以下の論文です。
- Stokoe, Elizabeth, and Frederick Attenborough. “Gender and categorial systematics.” Handbook of Language, Gender, and Sexuality, The (2014): 161-179.
この論文では「Membership categorization analysis (MCA)」について紹介していました。
日本語では「成員カテゴリー化分析」など翻訳されているようです。
MCAの由来
会話分析で有名なSacks (1997)のLectures on Conversationで提唱され、発展していった分析方法のようです。
MCAの特徴
会話の中で、性別、年齢、立場、地位などのカテゴリーがどう想起され、認識され、共有され、また時に反発されているかを分析するもののようです。
例えば、会話の中で、ある人が「you know, how men are…」や「it’s a male thing」などといった場合、その人が「男」というカテゴリーをどう理解しているかを知る発話とみなすことができます。
MCAの方法
特に決まった方法などはないそうですが、上記の論文(p.165)では以下のステップを紹介していました(不明瞭な箇所もあったので、詳しくは原文をご参照ください。)。
- 広範囲のデータを集める。
- その中からカテゴリーに関係する発話等を抽出・収集する。
- 会話の中でそういったカテゴリーに関する発話等がどのような流れで生じたかを調べる。
- このようなカテゴリーに関する発話が現れる発話ターンの特徴など(design)を分析する。(←ここは不明瞭でした)
- 発話者がどうカテゴリーを使っているか、それによりどんな結果が生じたか、発話者はどうカテゴリーを構築し反発しているかなどを考える。
MCAで使われる用語
たくさんあげていましたが、1つのみここで紹介しておきます(p. 166)
- Membership categorization device (MCD) -「母」や「赤ちゃん」と聞いたら、我々はこれらが「家族」という集合的カテゴリーに属するものだと考えます。この場合の、「家族」のような集合的カテゴリーをMCDというようです。また、あるカテゴリーが属するMCDは複数あります。例えば、「赤ちゃん」というカテゴリーは、「家族」だけでなく、「人生のステージ」など様々なMCDに属しています。
その他
著者の一人のStokoeは以下のような本も編纂しているようです。
- Stokoe, Elizabeth, Susan A. Speer, and E. Stokoe, eds. Conversation and Gender. Cambridge: Cambridge University Press, 2011.