今日は、翻訳トレーニングなどの翻訳スキル向上を目的とした翻訳教育(translation as an end) と、文法訳読法など、言語のクラスで言語を学ぶ手段として使う翻訳(translation as a means)についての再考を促すCarreres (2014)の以下の論文を読みました。
- Ángeles Carreres (2014) Translation as a means and as an end: reassessing the divide, The Interpreter and Translator Trainer, 8:1, 123-135
Carreresはケンブリッジ大学で教えているようです。スペイン語の翻訳が専門のようですね。以下のような翻訳コース用の本も出版されるようです。
- Carreres, Ángeles & Maria Noriega-Sánchez . Dicho de otro modo: curso avanzado de traducción del inglés al español. Routledge, 2017.
Carreresによると、いわゆる言語のクラスで使われる翻訳(translation as a means(手段としての翻訳))と、翻訳者トレーニングなどの翻訳教育・学習(translation as an end(目的としての翻訳))は、別個のものと考えられることが多いといっています。
一般的に翻訳者トレーニングは、翻訳の対象となる言語をマスターしてから受講すると考えられがちですが、翻訳者トレーニングも言語教育も、共通するところが多くあり、2つに分けられない場合もよくあるとCarreresはいっています。
確かに翻訳者養成コースを教えている知り合い数名が「翻訳者トレーニングっていうけど、言語のクラスみたいになることがよくある」と言っているのを聞いたことがあります。
Carreresはこの2つを別個として扱うこと自体を再考すべきなのではといっていました。