先月5月7日のイギリス総選挙で保守党が過半数を獲得しました。今後のイギリスにおける外国語教育にも影響を与えそうです。
(参考サイト:http://www.speaktothefuture.org/withdrawal-of-gcse-and-a-level-exams-in-small-entry-languages/)
イギリスでは中等教育でGCSEとAレベルという全国統一試験がありますが、2016年からのその基準の変更に伴い、2017年からは受験者の少ない言語についてはこれ以上試験を行わないという方針を表明したそうです。
↑A level/GCSEを行っているPearson社が廃止について説明したサイト(リンクはこちら)
Aレベルは中国語、イタリア語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の6つのみとなり、その他の言語(ベンガル語、現代ヘブライ語、パンジャーブ語、ポーランド語、オランダ語、日本語など)は廃止するそうです。
GCSEレベルでは、オランダ語、グジャラート語、ペルシャ語、ポルトガル語、トルコ語が廃止されるそうです。
その理由としては、受験者が少ないため採算が合わないこと、また母数が少ないため成績をつけるのも困難となること、Aレベルの新基準にあった試験を開発するのが困難なこと、試験官を探すのが困難なことなどが挙げられるそうです。
これらの言語の教育自体を失くすわけではないらしいのですが、AレベルやGCSEの試験などが勉強のモチベーションになっている学生も多いので、これに対しては反対の署名活動(署名サイト)も行われているようです。日本語もかなり活発なようです(日本語の署名サイト)。
反対の理由としては、上記のようなモチベーションの低下により、ある特定の国・地域(日本語の場合は日本等)との関わりが減ってしまうおそれがあること、イギリスに居住する移民の母語教育に影響を与えることなどが挙げられるようです。
英国では、2012年12月にも、教育省が初等教育Key Stage2(7歳~11歳)の外国語教育を7言語に限定する(フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、中国語、ラテン語、古典ギリシャ語)という新ナショナル・カリキュラム案を出しました。これは含まれなかった言語(日本語等)が反対の声を上げ、結局その必修7外国語のリストを削除することになったようです。ただ、英国では「マイナー」言語の教育(まあ、どれを「マイナー」と考えるかはかなり議論の余地がありますが)への風当たりは強くなっているようですね。
この試験を作成しているのは民間のPearson社ですが、続けるよう要求する場合には採算のとれない試験の赤字部分をだれが負担するのか、新基準に合わせた試験の開発をどうサポートしていくのかという現実的な議論が必要となるのかなと思います。Pearson社が続けられない場合は、学習者のモチベーションを保つための何らかの仕組みをどう作っていくかを考えなければならなくなりそうですね。。。