研究業績についての備忘録③-学術論文はどう評価されるのか(査読・掲載雑誌・引用)

査読

一昨日の記事昨日の記事の続きです。今回は主に学術論文の評価について書こうと思います。

学術論文というのは学術誌に掲載される論文で、電子ジャーナルとしてネット上で(有料・無料で)公開されるものが多いです。学術論文で重要となるのが「査読」です。

査読というのは、その分野の専門の数名の研究者(通常は2人)が査読者として匿名の論文を読み、査読者が認めた論文のみを学術誌に掲載するというものです。査読の有無は業績としては非常に重要となってくるので、履歴書などで「査読有論文」「査読なし論文」と分けて記載する人も多いです。査読なし論文(学会の議事録など)は評価が随分低くなります。

 

査読について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください

学術論文の査読プロセスについて

 

掲載される学術誌

また査読があればいいのかというと、そういうわけでもなく、掲載される学術誌によっても評価も違ってきます。多くの人が読み、よく他の論文でも引用されやすい学術誌は評価が高くなります。

全体的には、Thomson-Reuters社のWeb of Scienceや Elsevier社のSCOPUSというcitation index (引用索引)に掲載されている論文のほうが評価される傾向にある気がします。

Web of ScienceやSCOPUSなどの引用索引データベースとインパクトファクター、その問題について

↑興味のある方はこちらの記事もどうぞ

引用数

また、論文掲載後の論文の引用数により論文の価値も変わってきます。なので、論文を出した後も多くの人に読んでもらい、引用してもらえるような努力をする研究者も多いです。

具体的には、著作権を違反しない範囲で、自らのホームページや、ResearchGateやadacemic.eduなどの研究者用のソーシャルネットワークで自身の(有料)論文を公開したりするなどがあります。自分で自分の論文を引用する人も多いように思います(がこれについては否定的な意見の人もいるようです)。

各学術誌の著作権規定の検索に便利なサイトSHERPA/RoMEOについて

↑興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

 

CrossRef

また、電子ジャーナルによってはdoiが付与されるものもあります。DoiというのはDigital Object Identifierのことで、その論文の恒久リンクのことです。

大手学術出版社の多くはCrossRefという相互参照(cross reference)サービスに登録しています。このサービスでは、doiのある論文Aがdoiのある論文Bを引用すると、論文Bのページに論文Aの情報が表示されるようになります。なので、論文Bの著者は誰が自分の論文を引用したかチェックすることができます。

あるdoiのある論文が引用された場合に、メールが届くという「お知らせサービス」をしてくれる電子ジャーナルもあります。Doiのある自分の論文や気になる論文を登録しておけば、それが別のdoiのある論文に引用された場合にメールが届きます。

 

まとめ

学術論文の評価について書いてきましたが、以上はあくまで私の経験上に基づくものです。

大学によって評価基準も違うと思いますし、知り合いの話だと、最近は、論文が誰でもアクセスできるような「Open Access」にしていることを評価にいれるところもあるようです。

 

ちなみに論文の書き方についても山ほどハウツー本が出ているのですね。私自身はまだハウツー本は読んだことがありませんが、結構役に立つかもと思うものもありました。

  • Mitchell, Laura A., Emily Boersma, and Wendy Tilton. “Writing Your Journal Article in Twelve Weeks.” Invitational Education and Practice in Higher Education: An International Perspective (2016): 105.

↑これは学術論文の書き方のようです。

  • Wallwork, Adrian. English for writing research papers. Springer, 2016.

↑「English for Writing Research Papers」など、論文で使う英語についてもいろいろ出ているようです。

私は査読者から毎回のように「英語が分かりづらい」と言われるので、こういう本を読むと有益かもしれません・・・