インドのカルナータカ州(Karnataka)のカナンダ語(Kannada)の状況について

あまり詳しくニュースを追っていませんが、インド南西部のカルナータカ州(Karnataka)では公用語のカナンダ語(Kannada)を巡ってここ最近議論が高まっているようですね。いくつか新聞記事を読んでみました。

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2015年3月31日に「Right to Children to Free and Compulsory Education Act, 2009」の改正案と「Kannada Language Learning」法案が可決され、法の対象となる州立学校では母語(基本はカナンダ語)での教育が必修となり、また、州のすべての学校のクラス1~クラス10(4歳~16歳)の学生はカナンダ語の学習が必修となるそうです(←これは要確認ですがおそらく公立・私立を問わずの話かと思います)。

1994年からカルナータカ州政府が小学校での使用言語をカナンダ語にしようという動きがあったそうなのですが、これに対してプライベートスクール協会(Private school associations)が異議を唱え、高等裁判所に提訴したそうです。2008年7月に高等裁判所は、プライベートで政府の援助を受けていない学校は使用言語を自らで決めることができるとする判決を下し、2014年5月に最高裁判所の判決もそれを支持し、言語少数派にカナンダ語を押し付けることはできないと述べたそうです。

今回の改正案・法案はこの最高裁判所の判決を受けて、「カナンダ語を必修」にするという形でカナンダ語推進を何らかの形で進めようという州政府の動きのようです。

新聞を読んだ限りでは(インドの教育制度もあまり知らないこともあって)、以下の点が不明確でした。時間があれば調べてみようと思います。

  1. 1994年のカルナータカ州政府の法案の具体的対象範囲(カルナータカ州にどのような学校があり、この法案はどの範囲の学校を対象としているのか)
  2. 2014年の最高裁判所の判決の具体的内容(州立小学校の話なのか、政府援助を受けていない学校の話なのか)
  3. 2015年今回のカルナータカ州政府の改正案の変更点
  4. 「Kannada Language Learning」法案の対象範囲

カナンダ語等の母語教育を推進したい気持ちも分かります。(ある程度の保護規制がないと言語喪失に向かう恐れもあるかなと思います)。ただし、問題点としては、①インドのように多言語の場合はカナンダ語が母語でない学生も多く、最高裁の判決のように言語少数派にカナンダ語を押し付けることになる場合があること、②カナンダ語で高等教育まで受けさせられない場合はカナンダ語で教育を受けたことによるプラスマイナスを考えなければならないこと、③個人レベルでは英語で子供に教育を受けさせたいという家庭が少なからず存在することなどがあるのかなと思います。

情報源:

  • Indian Express: http://indianexpress.com/article/india/india-others/karnataka-assembly-passes-bill-to-make-kannada-compulsory-in-school/
  • Times of India: http://timesofindia.indiatimes.com/city/bengaluru/Ping-pong-battle-continues-over-Kannada/articleshow/46629216.cms
  • Economic Times: http://economictimes.indiatimes.com/news/politics-and-nation/karnataka-passes-amendment-making-kannada-or-mother-tongue-mandatory-as-medium-of-instruction-under-rte/articleshow/46764791.cms
  • NDTV: http://www.ndtv.com/karnataka-news/kannada-language-made-compulsory-in-karnataka-government-schools-751167


追記:

カルナータカ州政府は1994年から英語で授業をするEnglish medium schoolを認可していなかったそうなのですが、上記の最高裁での否決の判決を受けて、バンガロールとマイソールの既存の1,297校のうち1,172校にEnglish medium schoolとしての地位を与えたそうです。

参考:The Hindu. DPI officials sacrifice their off on Sunday. 2015年6月8日