リー・クアン・ユー元首相とシンガポールの言語政策について

シンガポールのリー・クアン・ユー元首相が先月3月23日に亡くなりましたね。

リー・クアン・ユー元首相はシンガポールで英語と母語の二言語政策を推し進めたことで有名ですが、彼のバイリンガリズムに関するスピーチがシンガポールの英字紙のThe Straits Timesにアップされていたので読んでみました。

2009年3月のスピーク・マンダリン・キャンペーン(Speak Mandarin Campaign)30周年式典でのスピーチです。このスピーク・マンダリン・キャンペーンは福建語や潮州語、広東語、客家語などの方言を話す中華系シンガポール人の中でマンダリンを共通語にしようとする1979年に始まったキャンペーンだそうです。

このスピーチの中でリー・クアン・ユー元首相は英語を政府・行政の言語として掲げ、母語は個々の人種グループ(racial group)内の第二言語だと位置づけていますね。

シンガポールの言語政策については日本語でもいくつか本が出ているようです。(読んでいませんが)

  • 田村慶子. 多民族国家シンガポールの政治と言語:「消滅」 した南洋大学の 25 年. 明石書店, 2013.

 

↑南洋大学については上記のリー・クアン・ユー元首相のスピーチでも出てきていました。1956年に開校、1980 年にシンガポール国立大と合体する形で消滅したそうです。南洋大学は中国語で教育をしていたため、英語推進派だったリー・クアン・ユー元首相とは対立していたようですね。

他にも以下のような本が出版されているようです。

  • 奥村みさ他. 多民族社会の言語政治学: 英語をモノにしたシンガポール人のゆらぐアイデンティティ. ひつじ書房, 2006.