会話分析で有名なMori and Hayashi (2006)の短い論文を読みました。

「intersubjectivity」について調べていたら、ウィスコンシン大学マディソン校の教授のJunko Moriの共著論文を見つけたので読んでみました。ちなみにウィスコンシン大学マディソン校は日本語教育で有名です。

Moriは会話分析などで有名で、修士の時には彼女の論文が授業の課題論文になったこともありました。

Moriは以下のような本も出版しています。この本も昔、読んだ記憶がありますが、記録しておかなかったので、どんな内容だったかすらも思い出せません・・・。将来も使いたいような本は記録はしておかなければダメですね・・・。

  • Junko Mori, and Amy Snyder Ohta. “Japanese Applied Linguistics: Discourse and Social Perspectives.” (2008). London: Continuum

 

今回読んだのは以下の短い論文です。

  • Mori, J. and Hayashi, M. 2006. “The achievement of intersubjectivity through embodied completions: A study of interactions between first and second language speakers.” Applied Linguistics 27 (2): 195-219.

この論文では、ジェスチャーや目線などの非言語行動に注目しながら、日本語母語話者と学習者とのインフォーマルな会話を2つ分析をしていました。

この分析では、日本語母語話者が、相手の学習者の言語能力を考えた上で、ジェスチャー等を使って分かりやすく説明し、また学習者のほうもそのジェスチャーを真似、ジェスチャーについて説明することで自らの理解を示している様子などを示していました。Olsher(2004)が、ジェスチャーなどの身体的表現を使って会話を終わらせるという「embodied completion」という概念を提唱しているそうなのですが、今回の分析でもその概念を使っていました。

この前もジェスチャーについて少し紹介しましたが(詳しくはこちら)、言葉だけでなく、ジェスチャー等も言語学習・会話の中で重要な役割を果たしているようですね。

ただ、肝心のintersubjectivityについてはそこまで突っ込んだ議論がされていなかったので、ちょっと残念でした・・・(論文のせいではありませんが)。