Critical intercultural literaciesに関するPegrum (2008)の論文を読了。criticalとはいったい何なのでしょうか。

Pegrumの「映画、文化、アイデンティティ:言語クラスでの批判的文化間リテラシー」という短い論文を読みました。

  • Mark Pegrum (2009) Film, Culture and Identity: Critical Intercultural Literacies for the Language Classroom. Language and Intercultural Communication, 8 (2), 136-154.

彼のことはこの論文を読むまで知らなかったのですが、西オーストラリア大学の准教授だそうです。Eラーニングやデジタルテクノロジーが専門みたいです。

  • Pegrum, Mark. Mobile learning: Languages, literacies and cultures. Springer, 2014.
今回読んだ論文では、ざっくりまとめてしまうと、これからは「批判的文化間リテラシー」というのが必要で、それには映画が有用なのではといっていました。ただ、実際のデータを提示してはおらず、理論的な話だったので、実際のデータを期待して読んだだけに、少し残念でした。

あとPegrumは現在の言語教育では社会的視点、批判的視点が重視されるようになっている(social/critical turn)と言っていました。確かに、批判的視点は最近はやりで、よく「critical」という言葉を聞きます。私自身もcriticalという言葉を使うのですが、実際に何をもってcriticalというのかは曖昧模糊としているように思います。
だからこそAtkinson (1999)のように、critical (thinking)というのは、社会的実践(social practice)(つまりある社会に特有なもので普遍的なものではないという立場)(詳しくはこちら)という意見も出てくるのだと思います。

また、教育機関では「critical」な視点が必要と言われます、ただ、教育者が望まない形の「critical」も受け入れるのか(例えば、合理的で理論だった「不寛容」な議論を「寛容」するのかなど)などの問いかけもはらんでくるとは思うのですが、そこらへんはどう議論されているのでしょうか・・・。ちょっと調べてみたいと思います。