Reflection(内省)に関する理論的枠組みについて調べてみました。

言語教育等のクラスでのラーニング・ジャーナル(ラーニング・ダイアリー、学習日記等呼ばれることもあります)の役割について前も少し調べましたが(詳しくはこちら)、今回もこれの続きで、ラーニング・ジャーナルによる学習

重要な要素である内省(reflection)について調べてみました。

読んだのは以下の本の第2章です。

  • Stevens, Dannelle D. and Cooper, Joanne E. (2009) Journal keeping: How to use reflective writing for learning, teaching, professional insight and positive change. Stylus Publishing.

この2章では、「内省(reflection)」についての理論的枠組みとして以下の3名の学者の説を説明していました。3人とも「内省(reflection)」が学習には不可欠な要素だと言っています。

①ジョン・デューイ(John Dewey)(1859-1952) – Experience, reflection and learning

アメリカの哲学者ジョン・デューイは、経験と内省、学習の関係について提唱しています。

デューイによると、経験とは個人が社会環境と触れ合う場だそうです。一人で本を読むにしても友達と話すにしても、これらすべての経験が社会的行為であるということだと思います。また、何かを経験する中で直面する問題や曖昧さ、疑問や衝突を、明らかにし、解決していくのが内省(reflection)の役割だといっています。

デューイによると、「考え」には、想像(imagination)、信念(belief)、意識の流れ(stream of consciousness)、reflection(内省)の4つの種類があるそうですが、学習につながるのは内省(reflection)だそうです。同じ経験をしても、ぼーっと過ごして終わるか、それについて振り返って考えるかどうかで変わってくるということだと思います。

また、内省のプロセスでは、問題に直面し困惑し(perplexity)、過去の似たような経験と結びつけて考え(elaboration)、仮説を立て(hypotheses)、仮説を比較し(compare hypotheses)、行動に移す (taking actions)という段階があるそうです。

②デビット・コルブ(David Kolb) (1939-): Reflection and an experiential learning model

コルブは経験学習モデルを提唱した学者で、4つの要素からなる学習サイクルも提唱しました。

4つとは、①具体的な経験をすること(concrete experience)、②反省的に考察すること(reflective observation)、③それを抽象的に概念化をすること(abstract conceptualization)、そして④実際に(その概念を)試してみること(active experimentation)です。このサイクルを繰り返すことが学習であると言っています。

最近の私が直面した問題だと、①作ったバター醤油パスタがまずかった(具体的な経験)、②最初にバターを入れすぎたかもしれない(反省的に考察)、③バターは少量で良し(抽象的に概念化)、④実際にもう一回作る(実際に試す)というプロセスということかなと思います。お粗末な例ですみません。

③ドナルド・ショーン(Donald Schön)(1930-1997): Reflection and Professional Practice

ショーンは、専門職がどう専門知識と専門性を内省を通して身に着けているかに関心を持っていたそうです。
ショーンによると、専門性の発展に寄与するプロセスとしては、経験している間の内省(reflection-in-action)と、経験が終わった後の内省(reflection-on-action)の2つがあったそうです。

どの枠組みも「内省(reflection)」そのものだけでなくて、「経験する」という要素に重きを置いているみたいですね。