この前読み始めたvan Dijkの以下の本ですが(詳しくはこちら)、第2章ではこの前から何度か紹介している選択体系機能言語学(SFL)(詳しくはこちら)を結構辛辣に批判していました。
- Van Dijk, Teun A. Discourse and context. A Sociocognitive Approach. Cambridge University Press (2008).
SFLへの批判は大雑把ですが以下のようなものでした。(p.54)
- 理論的に閉鎖的で、理論的発展がない。他の分野からの知見が取り入れられていない。
- コンテクストの概念が曖昧。SFLはコンテクストを分析するときに「field」「tenor」「mode」という3つの視点を取り入れているが一つ一つの概念の定義がはっきりしていない。
- SFLの「言語」アプローチは、基本的に「言語」というより「文法」アプローチである。
- SFLではコンテクストと言語を結びつけているが、結び付け方が恣意的で、不完全。
- 社会的アプローチといっているが、コンテクストとは何なのかや、コンテクストがどう言語に体系的に影響を及ぼすのかなどの社会的研究がない。
- コンテクストの考察で認知面が欠如している。(ある人がどうコンテクストを解釈しているかという点が抜け落ちている)
SFLの文献をいくつか読んだ後で、こういう批判している本を読むとおもしろいですね。
全部を鵜呑みにすることはできないにしても、実際にSFLを使って分析してみたときにコンテクストの扱い方などに悩むことがあったので、確かにと思うところもありました。